東京農工大学大学院 農学研究院 生物生産科学専攻 植物栄養学研究室

イネ

研究内容

Research

大学院農学府(修士課程)及び大学院連合農学研究科(博士課程)の進学希望者を広く募集しております。

本研究室の研究に興味がある方はご連絡下さい。

硫黄栄養、主に植物グルタチオンの生合成等に関する研究

「植物におけるグルタチオン分解経路の発見」

 硫黄を含むトリペプチドであるグルタチオンは、植物細胞中で安定的に存在でき、有機態硫黄や窒素の貯蔵・輸送形態として機能している。このためグルタチオンの分解は、植物の硫黄栄養代謝や窒素栄養代謝に大きな役割を有している。しかしながら、植物体中での分解経路は完全解明されていない。そこで、グルタチオン分解経路とその生理機能の解明を、最新の分子生物学的な手法を用いて行っている。

「硫黄栄養改善による、窒素固定向上機構の研究」

 マメ科植物-根粒菌の共生機構においては、周辺土壌環境中の硫黄栄養状態が大きく影響すると考えられる。根粒菌内の窒素固定を行う酵素であるニトロゲナーゼタンパク構成には硫黄が不可欠であり、ニトロゲナーゼに還元力を与えるフェレドキシンにも硫黄が含まれている。近年、工場における排煙脱硫装置の普及や、肥料の高品質化により、硫黄欠乏が世界的に広がっている。このような土地でもダイズを初めとするマメ科植物の生産性を高く保つための施肥方法を、根粒菌との共生に焦点を当てて研究している。このテーマにおいて、硫黄欠乏の広がる欧州との共同研究を行っている。また欧州地域に適した根粒菌の単離解析や、バチルスバイオ肥料のダイズ栽培への適応方法についても、研究を行っている。
詳しくはこちらのリンク

「硫黄源改変による作物生産改善の研究」

 植物は硫黄源として主に硫酸を根から吸収し、体内で還元して同化することにより、硫黄を利用している。一方大腸菌や酵母、シアノバクテリアにおいては、チオ硫酸塩を硫黄源とすると生育が硫酸塩よりも促進されることが知られている。チオ硫酸は硫酸よりも酸化数が少ないため、同化利用する際の還元力やエネルギーが節約できるためと考えられる。本テーマでは、筑波大学、九州大学との共同研究において、異なる硫黄源が植物の生育に与える影響を調べ、硫黄源改変による作物生産性改善の可能性を探る。

「グルタチオンが植物の重金属動態に与える影響の研究」

 東京農業大学の中村教授は、グルタチオンを根に与えると、植物の有害物質カドミウムの地上部への移行が低減すること、葉に与えると、人間にとって重要なミネラルである亜鉛が葉に蓄積することを見出した。本研究テーマでは中村教授らと共同で、これら現象のメカニズム解析を行い、人の健康につながる作物栽培への応用を目指している。

「可食部への放射性セシウム吸収抑制に関するイネおよびダイズ遺伝子の解析」 

 横山正特任教授の「福島営農再開および営農促進プロジェクト」における共同研究である。QTL解析等により候補となったイネおよびダイズの遺伝子について、真核生物のモデルである酵母に組み込み、セシウム吸収活性を調べることにより、植物体内におけるセシウム吸収抑制への関与を解析している。

「バチルスバイオ肥料の植物生育促進機構及び農業への利用についての研究」
 横山正特任教授との共同研究である。農工大で単離したバチルス属TUAT1株は、水稲をはじめとした作物の発根等を促進する。バチルス属バイオ肥料は芽胞体として長期保存が可能である。TUAT1株をはじめとしたバチルス属細菌による植物生育促進機構を解析している。またこのバイオ肥料をイネの直播栽培やその他の作物の収量増加のために用いる技術開発も行っている。