農工大の樹  その99

   
ソヨゴ
(モチノキ科モチノキ属の種、学名:Ilex pedunculosa Miq、
方言名:ソヨモ、イヌサカキ、フクラシバなど.)
  この種は樹高3-5m、直径10-20cmの常緑小高木で、本州の中部以西から、四国、九州、台湾、中国のやや乾性立地に広く分布します。灰色の樹皮と鋸歯のない卵状楕円形の葉を持ち、一見、同じ属のクロガネモチやモチノキと似ていますが、この種の葉が波打つことで容易に区別できます。6月に花を咲かせ、11月末には直径8mm前後の赤い実をつけます。和名は、この種が3-5cmの長い葉柄をもち、葉が風にそよいでさやさやと音を立てることから、その状況を表した「戦ぐ(さやぐ)」に由来します。また、葉を火であぶると膨れるので、方言でフクラシバとも呼ばれます。この種は自然条件ではまとまっては生育しないこと、小高木であることなどから、材としての利用は一般的ではありません。しかし、まれに床柱、そろばんの珠、櫛などには使われるようです。また、庭園樹とすることもあり、葉は褐色の染料になるそうです。
 
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司

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