農工大の樹  その94

クマノミズキ
(ミズキ科ミズキ属の種、学名:Cornus macrophylla Wallich、漢字:熊野水木)
 この種は、樹高10から18m、直径50cmにもなる落葉高木で、本州、四国、九州、韓半島、台湾、中国、ヒマラヤに広く分布します。同じ属のミズキと同様にやや湿った立地を好んで生育します。和名は熊野地方に生えるミズキという意味です。この種は多くの点でミズキに似ていますが、葉の形と葉の付き方ですぐに区別できます。ミズキの葉は中央部がふくらんだ楕円形で先が尖りませんが、クマノミズキは幅の狭い長楕円形で先が尖ります。また、ミズキの葉が枝に交互につく互生であるに対して、クマノミズキは対生、しかもそれが上下で90度づつ移動して十字対生でつくという特徴があります。また、花の時期はミズキが白い花を5〜6月に咲かせるのに対して、クマノミズキは黄白色の花を6〜7月に咲かせ、ミズキよりも1ヶ月ほど遅いという違いもあります。野生に生育する個体も多くないことから、材などの利用はほとんどされないようです。
 
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司

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