農工大の樹  その84

   
ユリノキ
(モクレン科ユリノキ属の種、学名:Liriodendron tulipifera Linn.、
別名:ハンテンボク、チューリップノキ、英名:tulip tree)
 この種はアメリカ東部原産の落葉高木で、樹高20から35m、胸高直径1mの大木になります。直立する幹の樹皮は縦に細かい割れ目がはいるという特徴があります。葉も特徴的で、写真に見られるように先端が切られたような形をしています。それが半纏に似ていることから、ハンテンボクとも呼ばれています。また、春には大きさ5cmから6cmで下部がオレンジ、上部が緑でチューリップに似た花が咲きます。外国ではそれをチューリップに見立ててtulip treeと呼びますが、日本ではユリの花になぞらえました。和名のユリノキはそれに因んだものです。類似した種は中国にもあり、シナユリノキと呼ばれています。この種は明治初年に来日したといわれます。しかし、日本にも今から250万年以前の新第三紀には生育していたことが化石からわかっています。このことから、この種の祖先は北半球に広く分布していたものが、隔離分布して現存していることがわかります。材が軽いので建築材や器具材、パルプ、船舶材などに広い用途がありますが、現在では公園の植栽樹や街路樹として利用されることの方が多いようです。
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司

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