農工大の樹  その77

  
ジンチョウゲ
(ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の種、学名:Daphne odora Thunb.漢名:瑞香)

 この種は高さ1m未満の中国原産の常緑低木です。茎は多く枝分かれし、褐色の繊維質の樹皮によって覆われているので簡単に折ることは出来ません。和紙の原料となるミツマタはこの種と同じ仲間(科)です。枝の先端には厚く光沢のある葉を密に付けます。早春、そこに多くの花が集まってつきます。花をよく見ると、筒状で、先端部分が4裂しており、花の外側は紅紫色、内側は白色になっています。蕾の時期と花の時期の2回、花の時期を楽しめるのもこの種の特徴と言えるでしょう。花は強い芳香があり、学名のodoraも「香りのある」と言う意味でつけられたものです。この種にあてた「沈丁花」は香りの良い「沈香」と「丁字」を合わせたものと言われます。この種は中国から室町時代以前に渡来したもので、ほとんど雄木なので実を結びません。庭木として植えられることが多く、春の訪れを最初に知らせてくれる植物でもあります。    
 
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司

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