農工大の樹  その63

  
マサキ
(ニシキギ科ニシキギ属の種、学名:Euonymus japonicus Thunb.,漢字:柾木)

 この種は海岸近くの崖や斜面に分布する高さ1−5mの常緑広葉低木です。太い緑色の枝が横にひろがり、葉は厚くて光沢がある。自然の分布は広く、北海道から九州までの日本全土と朝鮮半島、中国に生育しています。秋にはほぼ球形の実をつけ、それが4裂して、写真のように中から橙赤色の仮種皮に包まれた種子が現れます。この種は生け垣や庭木として利用されることが多く、古くからなじみの深い低木です。また、園芸品種として斑入りのキンマサキもあります。和名の語源は定かではありませんが、年間を通して常緑であることから、真青木(まあおき)から転化したという説があります。低木であることから材の利用はほとんどありませんが、黄白色の材は緻密であり、ろくろ細工に使われることがあるようです。
 府中市日新町の日本電気構内には樹高6m、胸高周囲0.9mで、日本でも2番目に大きいマサキがありました。それは市の天然記念物、府中市の名木百選に選ばれていましたが、残念なことに人が手をかけすぎたため先年枯れてしまいました。写真のマサキは農学部本館の東側通路に生育しているもので、計測の結果、樹高7.5m、胸高周囲0.9mあることがわかりました。これは枯死した天然記念物のマサキよりも高さで高く、胸高周囲は同じです。このマサキは2本立ちで片方は枯れていますが、他の1本の方は健全に生育しています。近い将来、このマサキを府中市の天然記念物に指定できるのではないかと思っています。
  
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司
                                                     

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