農工大の樹  その59

  
ウバメガシ
(ブナ科コナラ属の種、学名:Quercus phillyraeoides A. Gray, 別名:イマメガシ、ウマメガシ)
 
 この種は樹高10m(〜18m)、直径30cm(〜70cm)になる常緑広葉樹です。葉は小さな楕円形で厚く、クチクラ層が発達しているために光沢があります。分布は神奈川県以西の本州太平洋側、四国、九州、琉球、中国(中、南、西部)などで、海岸の岸壁を中心とした乾燥地によく見られます。潮風と乾燥という過酷な環境に耐えて生育することが多いため、この種の成長は遅く、詰まった年輪を形成します。そのために焼くと硬くて質のよい炭になります。ウナギを焼く上質の炭は「備長炭」と言われていますが、これはウバメガシの炭です。この炭も日本では資源不足で生産が追いつかないため、今では中国から輸入しているそうです。この種は備長炭の他に、椎茸の原木、器具材などに材を利用しますが、樹形が整っていることから庭園樹、公園樹、生け垣などに広く植えられています。和名は「姥目ガシ」で、それは若葉が褐色であることに由来すると言われていますが、今ひとつ、関係が想像しにくいですね。
    
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司
                                                     

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