農工大の樹  その56

  
  
オニイタヤ
(カエデ科カエデ属の種、学名:Acer mono subsp.ambiguum Kitamura、漢字:鬼板屋)
 この種は樹高15〜20m、直径50〜70cmになる落葉広葉高木で、北海道の日高地方以南、本州、四国、九州に広く分布します。この仲間はカエデの仲間では珍しく葉縁に鋸歯がないタイプで、イタヤカエデと総称されています。イタヤカエデは板屋カエデの意味で、葉がよく茂るために、板で屋根を葺いた板屋のように漏れることがないと言う意味でつけられたと言われています。早春に、山地の落葉樹林の中に黄色い花をたくさんつけた高木が目につきますが、それがこのカエデです。イタヤカエデは葉の形や毛の有無により多くの亜種が区別されていますが、オニイタヤもその一つです。これはイタヤカエデの中でも大型であることから名付けられたもので、葉が大きく、裏面全体に短い立毛があるのが特徴です。他のイタヤカエデよりも湿潤で肥沃な立地を好むために山地では斜面下部に分布しています。材の特徴的な用途はありませんが、建築材、家具材、運動具などに幅広く使われています。
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司
                                                     

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