農工大の樹  その131

カラタチ
ミカン科カラタチ属の種、学名:Poncirus trifoliate (L) Raf.

 この種は中国中部揚子江上流域原産の落葉低木で、日本には朝鮮半島を経由して渡来したと考えられています。すでに万葉集にこの名があることから、渡来時期は8世紀くらいではないかと言われています。また、カラタチとは唐橘で、「中国の橘」の意味です。この種は柑橘類の中では最も寒さに強く、東北地方まで植栽されており、野生化している個体もみられます。北原白秋作詞の「カラタチの花」は有名で、植物は知らなくても私たちの生活の中に入り込んでいる種でもあります。この種の枝には稜があり、よく枝分かれして掌状の3枚の葉がつきます。また、葉の付け根から扁平な鋭い3〜4cmの刺状の枝が出ています。この性質を利用して侵入者を防ぐ生け垣に用いられることもあります。この種は柑橘類との相性がよいことから、ウンシュウミカンをはじめとして柑橘類の接ぎ木の台木として利用されています。果実は直径3〜5cmで、9月から11月にかけて黄色く熟します。実の表面に毛があることが他の柑橘類とは異なる点ですが、皮は硬く、なかなか剥くことができません。また、果汁は酸味が強く食べられません。この実は果実酒や風呂に入れて香りを楽しむといった利用がされています。

農学研究院自然環境保全学部門 教授 福嶋 司

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