農工大の樹  その128

トウカエデ
 (カエデ科カエデ属の種、 学名:Acer buergerianum Miq. 漢字:唐楓

  この種は高さ15m、直径50cmにも達する落葉高木で、中国東南部と台湾に分布するカエデの仲間です。日本には江戸時代の中期、1721年に中国から長崎に渡来したことがわかっています。カエデの仲間は世界に約200種が知られており、北半球の温帯域の落葉樹林の主要な構成種になっています。蛙の手から連想されるように、多くの場合、カエデの仲間は蛙の手に似て、葉先が5〜7裂していますが、このトウカエデは浅く3裂するだけです。また、葉質は厚めで、縁に鋸歯がありません。これらの点は他のカエデとは異なる特徴です。この種はすんなりとした樹形になること、乾燥や汚染などに強いことなどから管理しやすく、日本各地で庭園に植えられ、街路樹としても利用されています。

農学研究院自然環境保全学部門 教授 福嶋 司

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