農工大の樹  その107

<ケヤキの横にある細い木>
   
シャリンバイ
(バラ科シャリンバイ属の種、学名:Raphiolepis umbellata Makino、漢字:車輪梅)
 この種は高さ4m程になる常緑広葉低木で、本州の中国地方、四国、九州、沖縄などの沿岸地域に自然分布します。この種は革質の光沢があり縁に鋸歯をもつ葉を枝の先端部に集中してつけ、春には花びらがウメに似た白い花を枝先に咲かせます。この花の形と、花や葉付き方からこの車輪梅の和名がつけられたようです。この種の変種としてマルシャリンバイがあります。両方の間には中間型も多いのではっきり分けることはできないとする意見もありますが、この変種の葉は縁に鋸歯がないかあっても目立たず、広い楕円形をしていることで区別できます。一般に変種の方が背が低く樹形がまとまっていることから、庭や街路樹の植え込みには好んで植えられているようです。シャリンバイは低木であることから、材としての利用はありませんが、樹皮や根にタンニンを多く含んでおり、奄美大島の名産である大島紬では褐色の染料として使われています。また、秋に黒紫色に熟する実で果実酒をつくり、楽しんでいる愛好家もいるようです。
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司
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