農工大の樹 その27
モッコク

tree27.jpg (48621 バイト)


モッコク
(ツバキ科モッコク属の種,別名:アカミノキ,イイク,イク,
学名:Temstroemia gymnanthera Bedd.,中国名:厚皮香)

 この種の幹はまっすぐに伸び,樹形がよいので庭園木としてよく植えられています。常緑の葉は厚く光沢があり,枝先に密につきます。多くの場合,樹高5〜10m,胸高直径2〜30cm程度ですが,時に,15m,80cmにもなります。天然の分布は本州の千葉県以西,四国,九州,南西諸島,台湾,済州島,東南アジア,(ボルネオ,ジャワ,ビルマ)やスリランカ,インドなどで,暖温帯から亜熱帯にかけて広く分布しています。材は暗紅色で,硬く重いため,日本では床材や櫛の材として使われました。また,樹皮は茶褐色の染料としても利用されたそうです。この種はシロアリの害を受けにくいことから,湿気の高い沖縄では建築材として重宝され,首里城正殿にもこの材が使われました。しかし,成長が遅いため,琉球王朝は資源の枯渇を恐れ,庶民がこの気を伐採して家に用いることを厳しく禁止したそうです。

(農学部教授 福嶋 司)


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