農工大の樹 その25
イロハモミジ

tree25.jpg (23574 バイト)


イロハモミジ
(カエデ科カエデ属の種,学名:Acer palmatum Thunb.,
別名:イロハカエデ,タカオモミジ,コハモミジ)

 この種は樹高10〜15m,胸高直径50〜60cmになる落葉高木で,福島県以西の日本全域,韓国南部に自然分布します。和名のイロハモミジは葉の裂片を「いろはにほへと」と7つ数えられることから付けられたものであり,別名のタカオモミジは,京都の高雄にこの種が多いことからそう言われるようになったそうです。カエデの仲間ではこの種以外にも葉が裂片になるものが多くあります。この仲間の総称である「カエデ」は,その形が蛙の手に似ていることから,そう呼ばれるようになったものです。また,「モミジ」とは,本来「紅葉すること」を意味しますが,カエデの仲間の紅葉が特に美しいことからその代表にされたものです。イロハモミジは小さな葉を持つカエデで,庭園や公園に広く植えられています。寒さが身に沁みる頃,寒さに向かって最後の力をふり絞って真っ赤に紅葉し,そして,すぐ後にははらはらと散る。精一杯の見栄とその散り際の良さがどこか日本人の感情をくすぐる木でもあります。

(農学部教授 福嶋 司)


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