農工大の樹 その16
ハナミズキ

tree16.jpg (33097 バイト)


ハナミズキ(ミズキ科ミズキ属の種,学名:Cornus florida L.,
和名の別名:アメリカハナミズキ,アメリカヤマボウシ 英語名:Flowering Dogwood)

 この種は北米原産の落葉樹で,花の色,花弁の形などで区別される多くの品種があります。この木の最初の来日は大正5年で,今から81年前のことです。この初来日は,東京市が日露戦争時にアメリカから受けた数々の好意に感謝して送ったサクラの返礼として送られてきたことがきっかけになっています。最初は特殊な木として植物園や公園に植えられていましたが,最近は街路樹として特に多く見かけるようになりました。平成8年時点の東京都の集計によると,都内の街路樹総本数408,263本の内,これは32,916本で全体の8.1%を占め,第4位の多さです。街路樹の中でこの木は,4〜5月に様々な色,形をした花を枝いっぱいに咲かせ,桃には紅葉し,赤い実をならせ,精一杯の自己主張をしています。落ち葉が落ちるとか,枝が広がって暗くなるとか,景色が見えなくなるとか,とかく苦情の多い街路樹ですが,この種の枝の張り方は控えめで,成長が遅く樹高も10m程度にしかならないことが,木の美しさに加えて管理者にも住民にも好まれている要因の一つになっているとも考えられます。春のワシントン・ポトマック河畔の公園には日本のサクラが咲き,東京の街路には方々でハナミズキが咲き乱れる。少々安売りされている感じもしますが,両国の友好表現の形(?)として,今後もこの木を楽しみたいものです。

(農学部教授 福嶋 司)


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