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◎ 第16回東京農工大学総合情報メディアセンター シンポジウム2019を開催
 総合情報メディセンターでは、IT分野におけるタイムリーかつホットな話題でのシンポジウムを毎年開催しています。今年度は、「大学における情報セキュリティの見直しと展望」と題して2019年11月29日(金)午後に開催しました。
 昨今の巧妙化・大規模化するサイバー攻撃に対して、各大学が抱える課題やその対策を限られた資源で効果的かつ効率的に実現するための知見を共有し、各大学における今後のサイバーセキュリティを相互に高め合うことを目的とし、大学等からご講演いただきました。
 情報資産の窃取・漏洩・破壊等が日常化し、大きな社会問題となっている昨今、大学の教育・研究現場でも、マルウェア感染や不正アクセス等による、個人情報や機密情報の窃取や他組織への攻撃等の事例が頻発化してきており、サイバーセキュリティ対策の一層の強化に向けた、各大学が主体的な取組が求められております。
 特に今年度は、昨年7月に改定された政府の「サイバーセキュリティ戦略」に新たな施策として追加された「大学等における安全・安心な教育・研究環境の確保」を受けて、各大学ではサイバーセキュリティ対策等の目標及び実施方針等の策定・改定を行うべく、大学が対応すべきことの見直しが行われました。
 本シンポジウムでは、このような時期において、各大学のサイバーセキュリティ対策に先行して取り組んでいる大学等からご講演いただきました。
 初めに学術・研究担当の荻原勲理事による開催挨拶のあと、基調講演「大学における情報セキュリティ教育のオンライン化:その功罪と今後の展望」題として、法政大学の上田浩先生からご講演いただきまました。上田先生は、情報セキュリティ教育をeラーニングとして実現するために、情報セキュリティポリシーの整備やLearning Management System (LMS) などのプラットフォームの整備等、今日の情報セキュリティ教育のオンライン化に必要な礎を築いてきた方です。講演では、上田先生のこれまでの取組の紹介を交え、情報セキュリティ教育のオンライン化におけるこれまでの経緯とその功罪をお話しいただくとともに、現在試験運用を行っている学認LMS等のご紹介をいただき、今後の展望について総括いただきました。
 もう一つの基調講演は、「日本における共通研究データ基盤の実現を目指して:技術情報管理への応用」と題して、国立情報学研究所の込山悠介先生からご講演いただきました。国際的な研究データ管理の状況をはじめ、日本における大学向け共通研究データ基盤の構築とそれを活用した実証実験の事例等をご紹介いただき、安全な研究データの管理とその実現に向けた今後の課題についてお話しいただきました。
 続いて、電気通信大学の土屋英亮先生から「電気通信大学の情報セキュリティ対策〜UEC-CSIRTのこだわり〜」と題して、電気通信大学における情報セキュリティ体制の紹介やUEC-CSIRTと呼ばれる電気通信大学情報セキュリティインシデント対応チームにおけるこだわりとしてユーザ教育と外部連携の重要性についてご紹介いただきました。次に東京理科大学の松田大様から「東京理科大学におけるセキュリティ対策とクラウド・コンテンツ管理への移行の取り組み」と題して、東京理科大学におけるセキュリティ対策の紹介と過去に発生したインシデントを例に取り上げ、メールセキュリティ対策に実現に向けた学内規則の整備等をはじめとした取組とその効果についてご講演をいただきました。
 本学からは、総合情報メディアセンター辻澤隆彦教授から「東京農工大学情報セキュリティ基本計画-教育・訓練と他機関連携について-」として、このたびの情報セキュリティ基本計画の見直しにおける要点の解説と、本学の情報セキュリティにおける取組と見直しを行ったポイントを報告いただきました。
 本シンポジウムの内容が、今後の情報系センターや情報セキュリティ部門、さらにCSIRT組織の在り方の手助けになれば幸いです。情報系センターの教職員のみならず、事務系の情報部門や関連企業の方々にも有益な講演内容でした。シンポジウム終了後、情報交換会を開催し、さらに深く議論意見交換を行いました。なお、シンポジウム出席者は61名、情報交換会出席者は30名でした。全国の情報系センターや事務情報部門からの参加者も多くありました。
 
辻澤隆彦教授による発表 会場の様子
 
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