農工大の樹 その135 |
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マンリョウ |
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(ヤブコウジ科ヤブコウジ属の種、学名:Ardisia crenata Sims. ) |
この種は高さ50cm前後(希に1m)の常緑低木で、本州の関東南部以西、四国、九州から、台湾、韓半島、中国を経て、西はインドにまで広く分布します。葉は5cmくらいの楕円形で縁が波打ち、透けて透明な点と黒い点が見られます。7月頃、枝の先に10個前後の白い花が咲き、晩秋には赤い実がなります。この実はおいしくないのか、鳥がなかなか食べないために冬になっても残り、よく目立ちます。この種のように冬に赤い実を付けている実はセンリョウ科のセンリョウ(千両)を加えて、マンリョウ科のヤブコウジ(十両)、カラタチバナ(百両)、マンリョウ(万両)として、縁起を担いで正月の飾りに使われました。この種は江戸時代から愛好されていたようで、黄色の実をつけるキミノマンリョウ、白い実をつけるシロミノマンリョウなどの鑑賞用の品種があります。根には細菌の繁殖を抑える効果があり、咽頭炎、扁桃腺炎の薬としても使われたそうです。 |
農学研究院自然環境保全学部門 教授 福嶋 司 |
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