農工大の樹 その134 |
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マユミ |
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(ニシキギ科ニシキギ属の種、学名:Euonymus sieboldianus Blume ) |
この種は落葉広葉樹で、ふつう見かけるのは低木なのですが、きわめて希に樹高10m、胸高直径30cmにもなった個体を見かけることがあります。この種の分布域は広く、日本全域とサハリン、南千島、中国の東北部、朝鮮半島にまで分布しています。 すーっと伸びた灰色の幹を持ち、多くの場合、小枝は灰色の中に縦に緑色の筋が見られます。葉は楕円形で一ヶ所に2枚が向かい合って付く対生です。実は四稜形をしており、この写真のように淡紅色で、それが4深列して中から赤い種子が露出します。和名のマユミは「真弓」のことで、よくしなうので、古代、この材で弓を作ったことに由来します。 材は緻密で狂いがないため、版木、こけし、櫛、小箱など、主に器具の材として使われます。また、樹形もまとまりがよく、剪定にもよく耐えるので、庭園樹や盆栽にも利用されています。春、この種の若葉の「天ぷら」や「おひたし」は個性的な味わいがあり、おいしいものです。 |
農学研究院自然環境保全学部門 教授 福嶋 司 |
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