農工大の樹  その129

ボタンクサギ
   (クマツヅラ科クサギ属の種、学名:Clerodendron Bungei Steud. 漢字:臭牡丹

 この種は高さ1mから2mの落葉低木で、目立つ丸い大きな葉を対生に着けます。 花は淡い紅紫色で、小さな花が多数集まって直径10cm程度の丸い花序(花の集まり)を形成します。その花や葉が一見、アジサイを思わせる形をしていますがアジサイとは全く別のグループの植物で、チョウセンアジサイとも呼ばれます。この種は中国中南部を原産地とする植物で、はじめは温暖な九州南部で栽培されていたようですが、花の美しさから愛好家の手によって植栽地域が拡大されたようです。クサギの仲間は世界で400種あり、花の美しいものが多いので観賞用に栽培されることが多いのですが、クサギ(臭い木)の名前に示されるように、この仲間の葉には強い独特の臭気があるため、眺めるだけで十分という人も多いでしょう。この写真は府中キャンパスの北門付近で撮影したものです。数年前には1株確認しただけでしたが、今年はこのように増えました。本来は温暖な地域に生育する種ですが、東京でもこのように自然に繁殖するこの種の繁殖能力には驚かされます。

農学研究院自然環境保全学部門 教授 福嶋 司
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