農工大の樹 その126 | ||
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ボケ | ||
(バラ科ボケ属の種、学名:Chaenomeles lagenaria Koidz. 中国語:木瓜) |
この種は高さ3m程度になる落葉低木です。春には美しい花を咲かせるので庭木や盆栽植えられ、生け花などにも使われます。幹は地上部から分かれて比較的まっすぐに伸びますが、枝にはとげがあり、花が葉よりも先に出るのが特徴です。この種は中国原産ですが、すでに平安時代には渡来していたと言われています。この種の中には花の色が異なる多くの品種がありますが、写真の個体は赤と白が混じったサクラボケと言われる品種です。ボケとは花の美しさには似合わない迷惑な名前のように思われますが、これは中国名の木瓜の音が変化して呼ばれるようになったものと言われています。また、モケとも呼ばれることもあるようです。この品種の果実は大きいものでは7cmにもなります。それは香りがよいことから果実酒に使われることも多く、痛み止めの薬としても使われてきたようです。似た種としてクサボケがあります。クサボケはオレンジの花を咲かせる日本固有種で、本州から九州の丘陵地などの明るい雑木林や草原に野生に生育しています。幹は若干這い、その果実も地際になるので、その種を地梨と言うこともあります。 |
農学研究院自然環境保全学部門 教授 福嶋 司 |
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