◎ Pacifichem 2010で工学府の学生が
「Outstanding Young Researcher Oral Presentation Awards at $250」
を受賞

 12月15日(水)〜20日(月)、米国ハワイコンベンションセンターで開催されたPACIFICHEM(International Chemical Congress of Pacific Basin Societies) 2010において、工学府生命工学専攻修士課程の村上慶行さんが「Outstanding Young Researcher Oral Presentation Awards at $250」を受賞しました。
 PACIFICHEM 2010(2010環太平洋国際化学会議)は、日本化学会、アメリカ化学会、カナダ化学会、オーストラリア化学会、ニュージーランド化学会、韓国化学会および中国化学会が主催しており、環太平洋化学会に属する科学者および技術者の間で化学に関する情報の伝達交流を促進し、これら科学者および技術者が一堂に会して、化学および工業化学の分野における最新の研究成果を発表討議する場として、諸国の学術ならびに工業の発展と国民の福祉に資することを目的として開催されました。
 本学会の「Area 7 - Biological Chemistry - New Frontiers of Functional Nucleic Acids: Chemistry, Biology and Applications」において、村上さんの発表「Znフィンガーモチーフを利用したDNAアプタマーの酵素標識法の開発とバイオセンサーへの応用」が、「Outstanding Young Researcher Oral Presentation Awards at $250」を受賞し、核酸研究の学術誌であるNucleic Acids Research journalから賞金が授与されました。
 なお、学会の詳細につきましては、以下のHPをご参照下さい。
 http://www.pacifichem.org/symposia/c_symp_208.htm
 
【受賞した研究の概要】
 DNAアプタマーはDNA分子が構造を形成することにより、抗体のように標的分子と強く結合する性質を有した核酸リガンドです。抗体と比較し、「動物を使うことなく獲得できる」、「合成や修飾が容易である」、「熱安定性に優れる」などの利点を有しており、近年抗体に代わる分子として注目されています。インフルエンザウイルスによる感染などの臨床検査を行う際には、酵素標識抗体が多く利用されていますが(酵素免疫法)、同様に、DNAアプタマーも酵素標識をすることにより抗原を検出することができるようになります。そこで、この研究ではDNA結合モチーフの一つであるZnフィンガーモチーフに着目し、酵素融合Znフィンガー蛋白質を用いてDNAアプタマーを容易に酵素標識する手法を開発しました。
 標識酵素としてヘイケホタル由来のルシフェラーゼを用いることにより、発光により抗原を高感度に検出できます。従来は、酵素の活性を損なうことなく抗体やアプタマーを標識することが難しかったのが、本方法では混合するだけで酵素標識できるため非常に簡便であり、広範な応用が期待されます。

【受賞に伴うコメント】
 同研究領域に精通した多くの研究者の方々に本研究内容を知って頂くことができ、同賞を受賞することができたことを嬉しく光栄に思います。本受賞を今後の研究生活の糧とし、グローバルで活躍できる人材になれるよう努めて参ります。
 最後になりましたが、本研究の指導を賜りました池袋教授に御礼申し上げます。
(工学府生命工学専攻修士2年 池袋研究室 村上 慶行)
 
授賞式(左:Zhen Huang教授、右:村上 慶行)
 

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