農工大の樹  その106

   
マルバチシャノキ
(ムラサキ科チシャノキ属の種、学名:Ehretia dicksonii var. japonica Nakai,)
 この種は高さ10m、直径20cmにもなる落葉広葉高木で、本州の千葉県以西、四国、九
州、琉球、台湾、中国までの暖温帯地域から亜熱帯にかけて広く分布します。この種の
和名は丸い葉をもつチシャノキという意味で、チシャノキという名前は、若葉がキク科の野
菜であるチシャのような味がすることからきたと言われます。この種は粗い毛をもつ大きな
広楕円形の葉に特徴がありますが、秋には枝の先端に房状に黄色の美しい実をならせま
す。このため、庭園樹として人気があり、特に温暖な海岸地帯ではよく庭に植えられてい
ます。材は器具の柄や銃座などの用材として使われますが、樹皮はタンニンを含んでお
り、チシャ染めの染料として利用されます。
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司
 ※ 「農工大の樹」の全シリーズは、こちらから

487号目次へ戻る