農工大の樹 その101 |
||
|
||
モクレン |
||
(モクレン科モクレン属の種、学名:Magnolia liliflora Descr.、別名:シモクレン、モクレンゲ) |
この種は中国中部原産で、高さ4mほどになる落葉広葉樹です。3月、他の樹木に先駆けて暗紫紅色の花を咲かせ、春の訪れを知らせてくれる種でもあります。モクレンとハクモクレンは中国では宮廷の庭園木として植えられ、漢のころから栽培されていたと言われます。これらの種が日本にいつ頃渡来したかは不明ですが、かなり古くから観賞用として庭に植えられていたようです。この木は主幹がなく、根元から多くの幹をだす樹形に特徴があります。また、6枚の花弁をもつ花が直立し、葉の展開と同時に開花するのも特徴です。この種の変種としてトウモクレンがありますが、それは花弁がやや細く、先端が尖るという違いがあります。また、類似した種としてハクモクレンがあります。その種は色の違いとは別に、萼片と花弁がほぼ同じ大きさで9枚の花びらのように見えるという特徴があります。このように、春の庭を飾るさまざまなモクレン科樹木の花は、また巡ってきた春を私たちに強く感じさせてくれる大切な樹木でもあります。 |
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司 |
※ 「農工大の樹」の全シリーズは、こちらから |
|
482号目次へ戻る |