農工大の樹  その100

   
ソシンロウバイ
(ロウバイ科ロウバイ属の種、ロウバイの品種、
学名:Chimonanthus praeocox Link f.concolor Makino、漢字:素心蝋梅)
  この種は観賞用によく庭に栽培される高さ2〜4mの落葉低木です。花のない早春にいち早く黄色の強いにおいを放つ花を咲かせます。学名もそれに因み、属名のChimonanthusは「冬の花」、種小名のpraeocoxは「早咲きの」という意味のギリシャ語です。種名のロウバイ(蝋梅)は花びらが厚く、見た目が蜜蝋で作ったように見えること、梅に似た芳香をもつことに由来します。この種は中国中部に自然分布していますが、日本には江戸時代の初期、1600年代のはじめに朝鮮から渡来したことがわかっています。この写真はソシンロウバイと呼ばれるロウバイの品種です。ロウバイの花は内側が暗紫色でやや小振りですが、この品種は内部まで黄色く、3cm程度のロウバイよりも大きい花をさかせることで区別できます。ロウバイの種子は有毒ですが、中国では花を乾燥して喉の痛みや咳止め薬、あるいは火傷の手当薬として利用するそうです。
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司
 ※ 「農工大の樹」の全シリーズは、こちらから

481号目次へ戻る