農工大の樹  その98

   
サカキ
(ツバキ科サカキ属の種、学名:Cleyera japonica Thunb.、別名:ホンサカキ、マサカキ)
  この種は、樹高8〜15m、直径20〜50cmになる常緑広葉高木で、わが国の本州関東以西、四国、九州、琉球から、台湾、朝鮮、中国、ヒマラヤ、フィリピンなど東アジアに広く分布します。また、この仲間は北米にも16種が分布しますが、それらは古い時代に東アジアからベーリング海を渡って分布を拡大したと考えられています。葉は楕円形で光沢があり革質で、縁に鋸歯はありません。また、枝先の芽(頂芽)が鎌状に曲がることもこの種の特徴です。6月頃白い花を咲かせ、11月頃には黒い実をつけます。よく似た種としてヒサカキがありますが、ヒサカキは葉の縁に鋸歯があること、芽がまっすぐであることなどで簡単に区別できます。サカキの名前は、この木が年間を通して葉をつける常緑樹であることに関係する「栄え樹」から転化したものと言われています。また、漢字の「榊」は、この木を「玉串」をはじめとして神事に使うことから、木と神を合わせて作られた和製漢字です。材は建築材、器具材などに利用されますが、もっぱら庭木として利用されることが多いようです。サカキについて調べるうちに、東京都昭島市拝島では「榊祭」という祭りがあること、その祭ではサカキを植え込んだ御輿がでて、御輿のサカキの枝を家に持ち帰って魔除けにする習慣があることを知りました。
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司
 ※ 「農工大の樹」の全シリーズは、こちらから

479号目次へ戻る