農工大の樹  その95

   
アオギリ
(アオギリ科アオギリ属の種、学名:Firmiana simplex W.F.Wight、
漢名:梧桐、英語:フェニックス ツリー)
  この種は樹高15m、直径60cmにもなる落葉高木で、インドシナ、中国、台湾、琉球に自生し、日本では伊豆半島以西の本州、四国、九州に半自生のものがみられます。また、街中に街路樹として植栽されることも多いので、普通に見かける樹種でもあります。この種の第1の特徴は平滑で緑色をした樹皮と、枝先にキリに似た葉をつけることにあります。この種の和名もそれに由来します。2つ目の特徴は房状につく紙の袋状の果実にあります。この果実は成熟する前に開き、舟状になって、開いた縁に5mm前後の丸い種子をつけます。このような形態を示す種子はあまり見かけません。この種の材は柔らかいので、利用はまれに器具材として使われる程度ですが、樹皮は粘りが強いので麻の代用として利用されました。また、戦争中にはこの種の葉を乾燥させてタバコの代用として使ったこともあるそうです。この種の種子は脂肪やタンパク質を多く含んでいることから、頻度は高くありませんが、いまでも食用にされたり採油されたりします。 
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司
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