ISO/TC123 (Plain bearings) 幹事国取得に成功し、
工学府山本隆司教授が国際幹事に就任

 去る2月に開催された国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)のTMB(技術管理評議会;TC幹事国の割当てなどの重要な機能をもつISO内の組織)において、TC123 (Sliding bearings:滑り軸受)の幹事国割り当ての審議が行われ、日本が幹事国を取得するとともに、工学府山本隆司教授が国際幹事に選任されました。
 近年、新製品の開発による新たな世界市場の獲得競争が激しくなっている中、国際標準を戦略的に獲得することが重要となっています。日本でも、2015 年までに欧米諸国に比肩しうるように、(1)国際標準の提案件数を倍増すること、 (2) 欧米並みの幹事国引受数を実現することを国際標準化戦略目標として掲げているほどです。

 山本教授が国際幹事を務める「滑り軸受」は、産業機械、とくに自動車エンジンに使用される重要な機能部品で、エンジンの動力性能や耐久性・信頼性に深く関わっており、日本車の世界における優位性を担保する機械要素といっても過言ではありません。今回の国際幹事就任は、長年にわたる研究教育活動(トライボロジー、技術経営研究科での標準化教育)、学会活動などの実績が国際的に認められたものであり、2004年TC227(Springs:ばね)での幹事国取得以来となる快挙となりました。

 4月には、染谷常雄氏(東大名誉教授)を国際議長に指名し、6月ドイツ・HannoverにおいてTC123の会議が開催されました。2008年6月末現在、ISOには208のTCが存在し、日本の幹事国取得数は、世界5位ですが、4位フランスに水をあけられ、また、6位スエーデン、7位中国からは追い上げを受けており、山本教授は「今後も、本学での地道な研究活動を基盤として、国際標準化活動に貢献できるよう努めたい。」と抱負を述べていました。
 

<6月のTC123の会議の様子>
※ 国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)
  非政府組織で加盟団体は国を代表する標準団体を基本としています。現在157カ国(2008年6月)が加盟しており、TC(Technical Committee:専門委員会)とその傘下のSC(Sub-Committee:分科委員会)およびWG(Working Group)により新しい国際規格の制定や既発行の国際規格の定期見直しを行っています。
なお、日本を代表する唯一の国際標準化団体は、日本工業標準調査会(JISC:Japanese Industrial Standard Committee)となっています。
  
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