農工大の樹  その90

   
ミツバツツジ
(ツツジ科ツツジ属の種、学名:Rhododendron dilatatum Miq. 漢字:三葉躑躅)
 この種は樹高2〜3mになる落葉低木で、関東の千葉県から近畿地方の滋賀県まで、 主に太平洋側地域の丘陵部の乾燥立地に分布します。この種が生育している場所は、 4月始め頃、3〜4cmの紅紫色の花が目立つために、すぐにわかります。花を追いかける ように3枚の葉が輪生して展開します。この種の名前はこの葉の数によります。 若い葉や花柄、ガクなどに腺があるために、さわると粘るのも特徴です。よく似た種としてトウゴクミツバツツジがあります。その種と分布域が重なりますが、ミツバツツジは雄しべが5本で1本の雌しべが目立つこと、トウゴクミツバツツジは雄しべが10本で、葉の裏の付け根を中心に主脈上に毛があることで区別できます。この種の花は春早く咲くことから、開花時期が農事暦として利用されてきました。このようにこの種は昔から人々の生活に密着 していましたが、清楚な花とほっそりとした樹形は今でも多くの愛好者を引きつけているようです。                             
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司
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