平成18年度 卒業・修了式答辞

 次第に穏やかな春の日差しが感じられるようになり、草木の芽吹く季節を迎えたこのよき日、私たちは本学を卒業いたします。
 本日は、私たち卒業生のために、このような盛大な卒業式を挙行していただき、まことにありがとうございます。ご臨席を賜りました学長の小畑先生をはじめ、諸先生方、ならびにご来賓の皆様に、卒業生を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 卒業を迎えることのできた今振り返りますと、長いようで短かった四年間でした。初めて大学生として校門をくぐった四年前、これから始まる学生生活に対して期待と不安であふれていた自分が、昨日のことのように思い出されます。講義や実験・演習では、高校までとは異なるやり方に戸惑いつつも、内容を自分のものにしようと懸命でした。特に実験・演習では、なかなか思い通りにいかないことも多くありましたが、先生や先輩方の丁寧な指導を受け、一つ一つ乗り越えてきました。今思えば、実験・演習を通して得られた小さな成功の積み重ねが、現在の自信につながっているのではないかと思います。四年生になり、学業の中心は講義から研究に移りました。研究は、自ら主体的に考え、計画し、実践し、省みるプロセスの繰返しです。当初は何から手をつけていいのかわからない状態でしたが、ようやくそのプロセスが板についてきたように思います。このように多くの講義や研究から得た専門知識や、問題を解決する能力は、私の将来の礎となっていくことでしょう。
 大学は、学業の場ばかりではなく、多くの友人たちとの出会いの場でもありました。さまざまな異なる背景を持つ同窓生たちとの出会いや、サークル活動をはじめとする課外活動は、私にとって大いに刺激となりました。この四年間を通して、人間としても成長できたのではないかと思っています。
 さて、右肩上がりの時代が終わりを告げ、人口減社会に突入した今、どのように社会の活力を維持していくかが問題となっています。そんな中私たちは、社会の活力源としての活躍が求められています。本学での学業を通して得た知識や能力を手に、それぞれの歩む道において経験を積み重ねていき、これからの社会の明るい未来を切り開いていく決意です。
 最後になりましたが、今日まで丁寧に指導してくださいました先生方、大学生活を支えてくださった職員の方々に心より御礼申し上げます。また、私をさまざまな場面で支えくださった先輩・後輩、友人、そして家族に感謝いたします。皆様の今後一層のご活躍と、東京農工大学のさらなる発展を祈念し、答辞とさせていただきます。

  平成19年3月26日
  東京農工大学工学部
情報コミュニケーション工学科 4年
  野尻 祐亮

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