◎ 新年賀詞交歓会を開催
 1月4日(木)、平成19年新年賀詞交歓会が、50周年記念ホールにて行われました。
 当日は、理事、監事、部局長、評議員等のほか多数の職員が出席し、小畑学長による年頭のあいさつの後、和やかに懇談が行われました。
 
 
 
小畑学長より 新年のご挨拶
 
 明けましておめでとうございます。皆様、新しい年をお元気に迎えられたことと思います。それぞれ今年の抱負や希望を胸に抱いていることと思いますが、それらが叶い、2007年がより良い年になることを願っております。

 いまさら言うまでもないことですが、日本を取り巻く状況には非常に厳しいものがあります。政治、経済、外交など、世界の中の日本は難問山積といってよく、“Japan as Number One”というのは遠い昔のことといってよいでしょう。日本が一流国としてこれからも国際社会の中で活躍していくには、相当の努力を必要とすると思います。グローバル化はあらゆる分野で急速に進みつつあり、世界のトップレベルのものだけが生き残れる厳しい競争の時代になってきたわけです。このことは政治、経済、あるいは外交の分野に限りません。大学そのものもグローバル化の波の中にあります。その波は今はさざ波程度と感じられても、徐々に大きくなり、備えなくしてはあっという間に飲み込まれてしまうことを自覚すべきと思います。世界の中の農工大学、という位置づけを常に念頭に置いた行動が求められる時代になっていることを、大学の構成員一人一人が認識していただきたいと思います。

 さて、昨年は本学にとってどのような年であったでしょうか。主なものを挙げれば、振興調整費による新しい教員制度の導入や男女共同参画の推進、産官学連携の国際化へ向けた取り組みなど、本学の今後の活動を支える基盤を強化する取り組みがスタートしました。また、来年度予算で地域インキュベータの新設が認められ、従来からあるインキュベータと併せて本学の知財を大きく育てる枠組みが整うことになりました。これらはある意味で目立つ事柄ですが、それ以外に教育、研究、社会貢献、管理運営などの側面において数多くの改革のための取り組みが行われ、より良い大学へと改善が図られてきました。その意味で、2006年は本学の発展のための基盤を強化した年となったといって良いと思います。これは教職員皆様の努力の結果であり、この場をお借りし、それぞれの立場で努力された教職員の皆様に、改めて感謝申し上げたいと思います。

 2007年の国立大学法人が置かれた状況には厳しいものがあります。法人化による厳しい競争の時代での生き残りをかけた努力が要求されることに変りはありません。大学全入時代となり、しかも文系への人気が高まり、理系離れが進みつつある中では、優れた個性ある大学像の確立が急がれております。いま、教職員を代表する委員から成る大学改革WGが組織され、検討を進めていただいております。これまでの議論の結果は中間報告としてまとめていただきましたが、これから具体的な実行案の議論に入ることになります。痛みを伴う改革も避けられないと思われます。しかし、「全学の発展と利益のために」、という視点に立てばそれは乗り越えられるものと私は思っております。本学の長所をさらに伸ばし、短所となっている部分を時代の変化を先読みして大胆に変革・改組することが必要です。それが結果的には本学が競争社会において生き残れ、優れた個性ある大学、オンリーワンの大学として発展していく礎となるでしょう。今年は改革本番の年です。前向きな議論に積極的に参加していただくようにお願い申し上げます。

 もう一つ重要なお願いがございます。2007年度予算の枠が決まりました。今我々はその中の競争資金をいかに獲得するか、大変重要な時期にいるということです。獲得競争はもう既に始まっております。特に21世紀COEの次のプログラムであるグローバルCOEが採択されるかどうかは極めて重要であります。研究大学を目指す多くの大学では真剣な準備を進めております。これまで、21世紀COEを持つか持たないかが大学のステータスを決める大きな指標でした。グローバルCOEは、全体の採択件数も半減しますので、大学のステータスを決める指標としてはより大きなものになることは疑いありません。グローバル化の中での研究大学としては、グローバルCOEの採択は必須です。これまでの21世紀COEの発展形として、あるいは新規な取り組みとしてのグローバルCOEの採択に向け、全学が一丸となって強力に取り組んでいただきたいと思います。

 これらに関連し、事務系職員の皆様、特に若い層の方々にお願いがあります。大学という社会は、法人化前までは、伝統的に教員が中心になって物事を企画していく社会であったといえると思います。しかし、教員と事務系職員とは、大学を支える両輪であり、それぞれ、重要な役割を果たしていることは間違いありません。それぞれ、より良い大学を目指す責任があるといえます。事務系職員の方々にも、積極的に大学を語り、改革のため種々思いをめぐらし、企画して実行する姿勢を持っていただきたいと思います。自らの職場である大学ですから、ある意味では当然であるといってよいでしょう。教員に遠慮があるとしたら、それは無用です。考える職員、企画する職員へと、これまで以上の自己変革を心がけていただき、積極的に発言していただきますよう、お願い致します。

 次に、折角の努力を水の泡にする不正やミスの防止について触れたいと思います。本学は外部資金の獲得が極めて盛んです。それは研究レベルの高さを示すものに他なりません。今後も大いに外部資金の獲得に各教員には努力していただきたいと思いますが、それと同時に、その執行にはくれぐれも不正のないように倫理観をもって執行していただきますようお願い致します。一つの不正行為が計り知れないほどの大きな大学へのダメージとなる可能性があります。また、これからは入学試験のシーズンが始まりますが、出題ミスにも同様なことが言えます。万全の体制でミスの無いようにくれぐれもお願い致します。

 終わりに、私の見た初夢を紹介したいと思います。組織を支える根源は人材です。農工大はテニュア・トラック制度が軌道に乗り、これまで以上の有能な教員集団が形成されました。そこから優れた研究が生まれ、外部資金は右肩上がりで増加を続けています。また、生まれた知財はインキュベータで育ち、いくつものサクセスストーリーが生まれました。事務系職員の募集においても、農工大のブランド力が向上したお蔭で、首都圏でトップクラスの有能な人材が集まるようになり、人材配置についても、それぞれが持つ力を十分に発揮できるような人材登用を実行し、一層のやる気が発揮されるようになりました。その結果、事務系からの優れた企画提案も次々と出て実施されるようになりました。これらの相互作用が好循環を生み、科学技術系大学として、グローバルCOE大学としての地位を確立致しました。

 この農工大の姿と現状との差は小さくありません。しかし、我々の努力の範囲内で実現可能なものと思います。私は初夢を夢で終わらせること無く、その実現に向けて最大限の努力を傾けることを誓いまして、年頭の挨拶とさせていただきます。
   
 
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