農工大の樹  その72

  
キンモクセイ
(モクセイ科モクセイ属の種でギンモクセイの変種、
   学名:Osmanthus fragrans var. aurantiacus Makino、漢字:金木犀、中国名:丹桂)

 この植物は樹高4-6m(時に10m)になる雌雄異株の常緑低木で、中国原産です。
日本には花と香りのよい雄株が輸入され、雌株がないために実をみることはありません。
もちろん、この植物の故郷である中国の桂州には雌株があり、ちゃんと結実するそうです。日本に自生するヒイラギに近い仲間で、花の形もよく似ています。花は10月のはじめ頃に開花し、強い香りをもつ橙黄色の小花をつけます。この頃になると、あちこちでよい香りが風に乗って漂い、私たちに秋の訪れを告げてくれます。多くの場所に栽培されていますので、知らない人はいないでしょう。類似する植物としては母種で、白い花を咲かせるギンモクセイ、花が淡黄白色でやや大きいウスギモクセイ、ギンモクセイとヒイラギの雑種のヒイラギモクセイがあります。ヒイラギモクセイは生け垣などに使われることが多いので、なじみ深い種です。キンモクセイの材は緻密で堅く、重く、磨けば光沢が出るためソロバンの玉、櫛、版木、将棋の駒などに用いられてきました。
                 
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司
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