平成18年度秋季修了式告辞
 本日ここに、平成18年度、東京農工大学大学院、および連合農学研究科の秋季修了式を挙行することになりましたことは、誠に喜びに堪えません。
 本日、学位を取得されましたのは、課程博士26名、論文博士11名、課程修士18名の計55名であります。晴れて学位記を授与されたすべての皆さんに、心よりお祝い申し上げます。また、ここには参加されてはおりませんが、この日を待ちわびておられたご家族の皆様をはじめとした関係各位のお喜びもひとしおと思います。心よりお祝い申し上げます。新たに修士あるいは博士になられた皆さんには、これまで皆さんを支えてこられたご家族やご友人、先輩、ご指導をいただいた先生方などに対して、改めて感謝の気持ちを思い起こしていただきたいと思います。

 さて、博士課程を修了された皆さんはこれからひとり立ちした研究者・技術者として社会で活躍されます。修士課程を終えられた方々の多くも社会に出て活躍される方が多いと思います。これまでに習得した専門知識を生かして、それぞれの途で活躍されることを祈っております。皆さんは本学の基本理念をご存知のことと思います。MORE SENSEです。美しい地球持続のための教育と研究をいっているわけですが、その理念をよりわかりやすい標語の形にしたことをご存知でしょうか。それは「地球を回そう、農工大」です。現在の社会は深刻な問題を沢山抱えております。地球規模の課題としては温暖化、環境破壊、エネルギー不足、食料問題、などです。以前は人間の活動を含めて、地球はうまく調和が保たれ、自然に物質などの循環も保たれておりました。それが人間の活動が限度を超え、その循環の輪をいたるところで破壊するようになったことから生じたものです。地球温暖化や環境問題、食料問題など、二十一世紀が抱える大問題の多くは本学が柱としている農学と工学およびその融合分野での努力により、技術的に解決できるものであることにお気付きでしょう。皆さんの専門を通して貢献できる範囲は非常に広いのです。皆さんの進まれる道はいろいろですが、それぞれの専門領域を通して課題の解決に寄与され、持続的な地球環境の回復に大きく貢献されんことを期待したいと思います。いわゆる論文博士となられた皆さん、皆さんは既に社会で活躍してこられ、これからも同じ道で研究者として進まれることと思います。私は皆さんも同窓生という感覚でおります。皆さんも是非本学との絆をより強固なものにし、研究面だけでなく、いろいろな社会活動において本学との連携を保っていかれんことを期待しております。

 本日の修了生の中には、30名の外国人留学生が含まれております。出身国は十ヶ国でありまして、その国名を五十音順に紹介いたしますと、インド、インドネシア共和国、カンボジア王国、大韓民国、中華人民共和国、バングラデシュ人民共和国、ブルガリア共和国、ベトナム社会主義共和国、ミャンマー連邦、ラオス人民民主共和国となります。留学生の皆さんは異なる言語、文化、習慣の壁を克服し、学位を取得されました。今日までの努力に対して深く敬意を表します。皆さんの多くは母国に帰られると思います。日本で学んだ専門知識を生かし、自然環境との調和のとれた母国の発展に大いに寄与されることを祈っております。私は一週間ほど前に中国に行ってまいりました。本学で学んで中国に帰り、大学や企業で活躍されている方々とお会いできました。中国では東京農工大学の同窓会が組織されており、毎年同窓会を開いております。今回は中国の東北地方の卒業生で中国同窓会の東北支部が組織されました。来年には北京で同じような支部もできる見込みとなっております。中国からの留学生の皆さん、是非中国同窓会に加わり、本学で学んだ人々との絆を深めてください。同窓会が組織されているのは中国だけですが、他の国々でも本学を卒業されて活躍しているひとが増加しております。皆さんには母国に戻ってからも、本学との関係を密にし、できれば同窓会を組織して本学との連携を深める中核となっていただきたいと思います。

 本学は世界各国からの留学生が学ぶ国際感覚あふれる大学です。皆さんには在学中に多様な国からの多くの友達と知り合うことができたことと思います。その国際的な人的ネットワークは皆さんの宝物になるでしょう。今は、通信手段、交通手段が飛躍的に発達し、空間的、時間的距離が劇的に縮まってきております。一方では、問題解決への取り組みが国際的広がりを持つものになり、一国の枠を超え、世界各国との相互理解と相互協力の下で進めることが必須という状況になってきております。皆さんが築いてきた人的ネットワークはそのような場合に大きな力となるでしょう。
 最後になりましたが、今後とも皆さんが心身ともに健康で、これまでに修得された学識と技術を存分に活かして活躍されますよう祈念し、また、本学のさらなる発展のため、同窓会活動などを通じて、ご支援くださいますようお願い申し上げまして、ここに告辞といたします。
 
 
    平成18年9月20日
  東京農工大学長 小畑 秀文 


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