農工大の樹  その68

  
  
ナナミノキ
(モチノキ科モチノキ属の種、学名;Ilex chinensis Sims 別名;ナナメノキ、中国名;冬青)
 
 この種は樹高15m、胸高直径40cmにもなる雌雄異株の常緑広葉高木です。静岡県以西の本州、伊豆七島、四国、九州、屋久島までに広く分布しており、中国南部にも生育することが知られています。モチノキ科の特徴として花は葉の付け根に付きます。写真のように、雄花は小型で6月に淡紫色の花を多くつけています。雌花は10月から11月にかけて熟し、球形で肉質の紅い果実になります。この種の名前の由来は明らかではありませんが、たくさん実をつけることから「七実の木」とする説があります。この種は材が堅く緻密であることから、古くから印材や櫛材に利用されてきました。また、樹皮から染料を採っていたそうです。中国ではちょっと利用方法が異なっていて、樹皮や葉を火傷や止血に利用するそうです。この写真の個体は府中キャンパスの見本林地区の生け垣に植えられている雄の木です。
   
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司
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