農工大の樹  その66

  
ゲッケイジュ
(クスノキ科ゲッケイジュ属の種、学名:Laurus nobilis Lin. 
     漢字:月桂樹、フランス語:laurierロリエ、英語:laurelローレル,bay treeベイツリー)

 この種は高さ10mほどになる雌雄異株の常緑広葉樹です。自然の分布は地中海式気候の地域で、夏に雨が降らず乾燥する気候に耐えるために厚くて硬い葉を持っていることから、硬葉樹とも呼ばれます。光沢のある葉は革質で、縁は裏面にめくれて波打つのが特徴です。植物体にはシネオールを主成分とする特有な芳香があり、料理の香辛料であるローリエとして利用されています。この種は古代ギリシャでは神聖な木とされ、4年に一度開催されたオリンピア祭では勝利者にこの木の枝で作った冠を授けました。この名残はいまでも続いています。日本へは明治38年頃に渡来したとされ、東郷大将らが日露戦争の戦勝記念に植樹した記録が残っているそうです。果実は健胃剤、リュウマチの塗布剤として利用されました。この写真は農学部の本館講堂脇に植えられた雌株のゲッケイジュです。
    
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司
 ※ 「農工大の樹」の全シリーズは、こちらから

447号目次へ戻る