シリーズ FM多摩丘陵(波丘地)の植物 その20

ネジバナ(捩花)

 ネジバナは、北海道から九州にかけて分布する、ラン科ネジバナ属の多年草です。日当たりのよい芝生、田の畔、草地などに生え、高さは20〜40センチ程。花穂(かすい)がねじれているので、この名前がついたそうで、別名の捩摺(モジズリ)は捩(もじ)れ模様に染めた絹織物の一種で、ねじれた花穂をこれに例えたとのことです。

 芝生との相性がよいらしく、FM多摩丘陵研究棟前の芝生に毎年たくさん花を咲かせます。全国的な花期は、4月から10月と図鑑にはありますが、FM多摩丘陵近辺では6月の中頃から7月に咲き、秋にもほんのわずかに咲いているものが見られます。

 花穂のねじれは左巻きのもの、右巻きのもの両方あります。また、途中で巻き方が変わっているものもあるそうです。試しに研究棟の前で50個ほど調べてみましたが、ほぼ半々の割合で左巻き右巻きのものが見られました。花の色は、淡いピンク色から濃いピンク色をしていますが、全く白いものも時折見られるそうです。



※ クリックすると大きくなります

 

 左巻きのもの

 

 右巻きのもの



左巻き


右巻き

※ 右巻き、左巻きについてよくつる性植物などの説明で、右巻き、左巻きという言葉が出てきます。このことについての見方は、2通りあるようですが。上図のように親指をつるの伸びる方向と考えて、右巻き、左巻きを判断すると分かりやすいですし、この見方が一般的なようです。




よく見るとラン科の花の形です
※ クリックすると大きくなります



ラン科の花は、花柄に見える部分が子房で、
花が終わるとそこが膨らんで果実になります


  ■ 『 シリーズFM多摩丘陵の植物 』 終了のご挨拶 ■
 『 シリーズFM多摩丘陵の植物 』 も、お蔭様であっと言う間に20回を数えました。今多くの大学で学報が web 化されつつあります。大変結構なことなのですが、web 化されたことでこの連載も一般の多くの方々の目に触れることとなります。そのことにより、FM多摩丘陵の自然が損なわれないかと心配しています。
 日野市の南平というところに、日野市立南平丘陵公園という公園があります。5、6年程前に公園内でキハダという木を見つけ報告しましたところ、管理の方がその木に新たに 『 キハダ 』 と書いた名札をつけました。そして今年の2月に、この公園で観察会のガイドを頼まれて行きましたところ、そのキハダの木の樹皮が剥がされて、枯れたようになっていました。キハダの樹皮は薬になるからです。何が災いするか分かりません。
 そのような理由から、FM多摩丘陵の自然を守るために、残念ですが 『 シリーズFM多摩丘陵の植物 』 は今回をもって終了させて頂くこととなりました。短い連載でしたが、お世話になりました江戸川大学に行かれました土器屋由紀子先生、環境資源共生科学部門福嶋司先生、広報の方々に深く感謝致します。ありがとうございました。

文・写真・絵 松村良


437号目次に戻る