研究内容
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当研究室では"ナノシリコンテクノロジー"をキーワードに,半導体集積回路の基幹材料であるシリコンをナノメートルサイズにまで微細化した時に現れる量子的な現象についての基礎物性評価と,それをデバイスへ応用する研究を中心に行っています.また微細化についての研究は,ナノ結晶シリコンにとどまらず,集束イオンビームと高融点金属酸化物薄膜レジストとを組み合わせることによる"ナノメーターリソグラフィー"の研究も扱っています.さらに,イオンの反応を利用した"光インターカレーション素子"についての基礎研究も行っています.



---主な研究テーマ---

・ 量子サイズにおけるナノ結晶シリコンの基礎物性評価とデバイスへの応用

・ 集束イオンビームと高融点金属酸化物薄膜レジストを組み合わせたナノメーターリソグラフィー

・ 光インターカレーション素子の基礎研究





ナノシリコンテクノロジー


プロセス技術

当研究室ではこれまで主に,陽極酸化と呼ばれるウエットプロセスを用いてナノ結晶シリコン層を形成し,その基礎物性の評価やデバイスへの応用を行ってきました.
この方法は,シリコン基板をフッ化水素酸水溶液中で通電処理を行うのみで良く,非常に簡便な方法です.ナノ結晶を作る方法としてはこの他に,ドライプロセスとしてイオン注入法などがありますが,この方法でも現在,研究を行っています.


発光・光集積

バルク状態のシリコンを直径数ナノメートルサイズにまで微細化したシリコンは,通常では見られない量子的な現象を見ることが出来ます.その代表が発光です.
当研究室では"世界に先駆けて"電気的にシリコンを発光させるエレクトロルミネッセンス(EL)に成功し,現在では外部量子効率1.1%というシリコン発光ダイオードを発表しています.その他にもナノ結晶シリコンを用いた3次元光導波路光共振器等の作製と動作を発表しており,シリコンを用いた光電子集積回路や光情報処理への応用展開へ向けて,更に研究を進めています.

ナノ結晶シリコンのPL発光ナノ結晶シリコンのEL発光




光電子機能

  ナノ結晶シリコンダイオードは発光以外にも様々な量子的現象が見られます.その一つが不揮発性の光メモリー効果です.ナノ結晶シリコンはその強い量子閉じ込め効果により,不揮発性の電気的・光学的なメモリーとして動作します.既に電気・光それぞれによる,情報の記録保持・読み出し・消去動作を確認しています.更にナノ結晶シリコン層の密度を変化させることを利用した光共振器は,光励起および電流注入によって非線形な光学応答を持つ素子として働くことを確認しています.
ナノシリコン埋め込み型光導波路



弾道電子現象

ナノ結晶シリコンダイオードを真空中で動作させると,高効率の面放出型電子源として動作します.更にナノ結晶層を構造制御することで,エネルギー損失の少ない弾道電子として放出させることも可能です.この電子源の特徴は,低電圧動作が可能で,電子放出の角度分散が少なく,真空度にあまり依存しない,などです.本研究室で発見したこの現象を現在では,フラットパネルディスプレイや電子ビーム露光への応用に向けて研究を進めています.更に,ナノ結晶シリコン層を電子が弾道伝導することを利用した,全固体の面発光素子についての開発も行っており,ディスプレイへの応用も念頭に置き研究を進めています.
近年,ナノ結晶シリコンダイオードが真空中だけでなく,空気を含めた大気圧ガス中でも動作可能であることがわかりました.さらに,液体中でも動作可能で,電子源単体で水素ガスを生成できることが明らかになりました。






弾道電子を用いた薄型ディスプレー(BSD) (動画)
松下電工(株)との共同研究
弾道電子励起による有機蛍光体の発光




弾道電子を用いた水素生成の様子(動画)
顕微鏡での拡大画像



超音波放出

ナノ結晶シリコン層は,バルクシリコンと比べて約170分の1の熱伝導率しかありません.
この特性を利用し,ナノ結晶層表面に付けた電極で発生した熱を,効率よく表面側に伝えることで,空気の熱交換を利用した熱誘起の超音波源として動作することを見出しました.この特徴は機械振動を全く伴わないことです.通常の超音波源は機械振動を必要としていました.更にシリコンで出来るため,電子回路との集積化も可能です.今後は,アレイ型超音波源やスピーカー等への応用も検討して研究しています.



熱誘起超音波素子の可聴域スピーカへの応用(動画)


熱誘起超音波素子の圧力源への応用(動画)



バイオ活性

ナノ結晶シリコンは化学的に高い活性を示す物質です.そこでこれを利用したガスセンサやバイオセンサ,更にはDNAやニューロン等を扱う上での材料に利用できるとして,世界中で研究が始められています.当研究室でもオプトエレクトロニクスだけでなく,バイオテクノロジーも視野に入れた共同研究を今後行う予定です.






ナノメーターリソグラフィー

本研究では,集束イオンビーム (Focused Ion Beam : FIB) と無機材料である高融点金属酸化物レジスト (MoO3 , WO3) を組み合わせたナノメートル領域の加工技術の確立と応用を検討しています.これまでは,高融点金属酸化物レジストの発現機構を探求するとともに,メタライゼーション技術 (FIB露光−現像−還元熱処理) による極微高融点金属細線の作製に取り組んできました.今後はこれらの技術を活かし,携帯電話の周波数フィルタとして必要不可欠な GHz帯SAW (Surface Acoustic Wave)フィルタの作製やナノシリコンテクノロジーとも組み合わせた,フォトニック結晶への応用へ向けて研究しています.





光インターカレーション

光インターカレーション (Photointercalation : PI) 効果は,電気的・光学的性質(導電率,屈折率など)の可逆変化を伴うイオンを介在した光誘起現象です.この反応はイオンを介在しているという点で,生体の視細胞での光化学反応と共通しています.当研究室では,全固体素子におけるPI効果について,その特性評価と素子の開発を行っています.この素子は新しい原理の画像 デバイス,光導波路,並列方式の新しい光情報処理デバイスなどへの応用可能性を秘めており,現在,これらを念頭に置いた基礎研究を行っています.
近年の研究により、キャリア蓄積層を導入することにより、エレクトロクロミック (Electrochromic : EC) 効果の応答速度・EC効率が劇的に向上しました。これにより、EC素子の特性が実用レベルまでに達しており、動作寿命の向上、高効率化など、さらに特性を改善するために研究を行っています。



EC効果を利用したデジタル時計(動画)
12:00スタート




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