研究室在室者より
まず最初に言えることですが、この研究室では基本的に何でも研究できます(当然ですが常識の範囲内で)。自由に研究を構築することが可能です。
あと、就職活動は思い通りにできるのか気になる人も居ると思いますが、コアタイムはないので心配は無用です。研究さえちゃんと行っていれば何も問題ありません。
また、注意して欲しい事ですが「自分が興味を持っている内容に対して自立(自律)的に取り組むことができる人」が望ましいです(来て欲しいとかではなくて)。
というのも、この研究室では「先生から研究対象を与えられるのではなく、自分で研究対象を決定し、取り組まなければならない」からです。
「何となく昆虫とか生化学関係の研究やりたいからここに行こうかな」なんて考えて入った、サボリ癖のある僕のような人は苦労します。
他に質問などがある際は自由に聞きに来てください(メールでもどーぞ)。
普後教授より
最近の私の研究は、昆虫産業廃棄物「製糸業で廃棄される蛹」の再利用です。表題にも記載しましたが、カイコの蛹でトラクターが動く!肥料も作れる!醤油もできる!ペットの餌もできる!といったことを研究しています。「国民の税金を使って、カイコの油でトラクターを運転させているだと!」と怒られそうですが、大真面目で研究をしています。
私は養蚕業(昆虫産業)を復興あるいは新規開拓させたい「夢」を持っています。養蚕は「繭」生産ですが、新規昆虫産業として「養蛹」を世界的に広めたいと考えています。現在は製糸業現場でほとんどが廃棄される「蛹」の再利用ですが、将来的には循環型社会における新規昆虫産業の創出を目指しています。
完全変態する昆虫は、蛹の時期は摂食しませんので、幼虫時代に「せっせ」と餌を食べ、蛹の脂肪体に栄養物質を蓄積します。蛹は非常に栄養価に富んだ有望な資源といえるでしょう。ですから、この蛹の多目的利用の研究を開始したのです。また、残渣中の昆虫由来成分を有効に利活用できる試験にも着手し、昆虫原材料の多目的利用を計画しています。具体的には、伴侶動物の生活習慣病や代謝抑制作用のある生理活性物質の探索等が考えられ、そのための基礎研究も行っています。
昆虫は基本的に、我々が利用できない資源(植物や動物)を餌として生育し、タンパク質、脂質、糖類を作っており、有用な生物資源です。昆虫は植物などに比べ成長が早く、生活環は短く、繁殖力は強く、高密度に飼育することが可能です。社会全体として昆虫や昆虫生命科学への理解を深めていきたいと考えています。廃棄されるカイコガの蛹はもっと利用されても良いと考えています。カイコガで成功したならば、ハエでもゴキブリでも利活用できると考えております。昆虫は未利用な生物資源として有効に活用されるべきです。何千年も昆虫と付き合ってきた人類ですから、彼らの能力や我々が気付かない有用成成分をうまく利用できるようにしたいものです。