等価回路について

 トランジスタ回路は非線形なので、そのままでは信号の増幅のしかたなどをグラフから読みとるしかないのであるが、それでは、設計がしづらいので、動作点付近で特性が線形になるように直流バイアスが加えられていると仮定して、線形のパラメータのみで表すことが行われる。これをトランジスタの等価回路という。

以下ではトランジスタの4端子パラメータについて述べる。トランジスタの静特性の代わりに直線部分の傾きを数値として特性を表したものがh定数(hパラメータ)である。

図は教科書の図1.12を単純化した図である。この図に示されている4つの特性曲線において、

(1)     IB-IC曲線の直線部の傾きを電流増幅率hfeという。添え字のfforward(順方向)の意味、eはエミッタ接地の意味である。

(2)     VBE-IB特性の傾きが入力インピーダンスhieである。添え字Iinput(入力)を表す。

(3)     VCE-IC特性の傾きが出力コンダクタンスhoeである。添え字ooutput(出力)を意味する。

(4)     VCE-VBE特性の傾きが電圧帰還率hreである。添え字rreverse()を表す。
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h定数の値は、トランジスタの種類によって異なるばかりでなく、同一のトランジスタでも、IC, VCE, 周辺温度によっても変わり、さらに製品のばらつきも見られる。

これらのhパラメータを用いると、

トランジスタは、4端子回路網(または2端子対回路網)として表すことができる。

 入力端の電圧v1、電流i1、出力端の電圧v2、電流i2とすると、


これを等価回路で表すと、図1.63の右のようになる。しかし、実際には、(4)のように電流帰還率hreは0と見なしてよいし、(3)にみられるように出力コンダクタンスh0eは0とみてよいので、左の図のような等価回路が用いられることが多い。、