物性工学概論ミニテスト標準解答

 

問題1

(40)

(1)

左辺第1項の表す力

質点に加速度が加わることによる力

左辺第2項の表す力

いわゆるダンピングの力:質点の速度に比例する力

tの意味

衝突までの平均自由時間(散乱の緩和時間)

(2)

[2]

(時間tを含まない式)

-mw2u(w)-i(mw/t)u(w)=-eE(w) または

(w2+ iw/t) u(w)=(e/m)E(w)

(3)

[3]

変位u (w)

u(w)={e/( m(w2+ iw/t))}E(w)

(4)

[4]

電気分極P (w)

P (w)=-Neu(w)=-(Ne2/m)(1/(w2+ iw/t))E(w)

(5)

[6]

電束密度D(w)

D (w)=e0E(w)+P(w)=e0E(w)-(Ne2/m)(1/(w2+ iw/t))E(w)

=e0{1-(Ne2/me0)(1/(w2+ iw/t))}E(w)

(6)

[8]

複素比誘電率er(w)

er(w)=1-(Ne2/me0)(1/(w2+ iw/t))

(7)

[9]

比誘電率実数部er’(w)

er’(w)=1-(Ne2/me0){1/(w2+1/t2)}

[10]

比誘電率虚数部er”(w)

er”(w)={1/(wt (w2+1/t2))}

(8)

[11]

プラズマ角振動数wp

wp(Ne2/me0)1/2

(9)

「負の誘電率」

の物理的意味

 

 

電磁波の電界が加わったとき、電界と逆方向の電束密度が生じることを意味し、電界を遮蔽し、媒体の中に入れないように働く。

(10)

比誘電率erが負の実数であるとき、反射率が100%になることの証明

 

r= (er1/2-1)/ (er1/2+1)er= - a (a:正の実数)を代入→r=(ia1/2-1)/ (ia 1/2+1)

 

反射率R=r*r=(a+1)/(a+1)=1

 

問題2

(20)

 

2問選択

番号

説明

(1)

 

金属においては、原子同士が接近していて、外殻のs電子は互いに重なり合い、各軌道は2個の電子しか収容できないので膨大な数の分子軌道を形成する。電子は、それらの分子軌道を自由に行き来し、もとの電子軌道から離れて結晶全体に広がり非局在電子となる。正の原子核と負の非局在電子の間には強い引力が働き、金属の凝集が起きる。従って、金属の場合叩いて塑性変形しても非局在電子の海に正の原子核が浮かんでいる状態を保つことができるので、箔に引き延ばすことができる。一方、半導体結晶では、価電子は共有結合を作って原子間の結合分子軌道に局在しているので、結合は明確な方向性をもち、変形すると結合が保てなくなって、結晶面どうしがスリップしてずれ、破壊が起きる。

(2)

 

キャリア密度n、移動度mとすると、導電率は、s=nemと表される。室温付近の移動度mは、金属においても半導体においても温度上昇とともに格子振動による散乱を受けてゆるやかに低下する。一方、キャリア密度は、金属ではほとんど温度変化しないのに対し、半導体では温度とともに指数関数的に増加する。この結果、金属では、温度とともに導電率が低下するのに対し、半導体では、温度上昇とともに導電率が増加する。

(3)

 

熱伝導は格子熱伝導と電子熱伝導から成り立っている。金属の電子熱伝導は、キャリア数が多いほど大きくなる。一方、絶縁体の熱伝導は、格子熱伝導が大きな部分を占めている。ダイヤモンドは、格子熱伝導が主に寄与している。

(4)

 

半導体では、フェルミ準位が価電子帯と伝導帯の間のバンドギャップ内に来るので、フェルミ分布関数より、絶対0度では価電子帯は電子で満ちており、伝導帯は空であるため、伝導のキャリアがないため絶縁性となる。温度が上昇すると分布が裾を引くため、伝導帯には電子が、価電子帯にはホールが分布するようになり、伝導に寄与する。一方、金属では、伝導帯の内部にフェルミ準位が来るので、多くのキャリアが伝導に寄与でき高い導電性をもつ。温度上昇によってフェルミ分布は裾を引くがトータルのキャリア数に大きな変化をもたらさない。

(5)

 

金が金色であるのは、赤から緑にかけての反射率が高いことによるが、この高い反射率は自由電子の集団運動によるDrude則による負の誘電率が原因である。これに対して、黄鉄鉱では、バンド間遷移によって、強い吸収が赤〜赤外領域に存在するために反射率も高くなっていることが原因である。

問題3

(10)

1問選択

選択した番号

理 由

(1)

 

 

 

 

ヒトの網膜には色を感じる錐体という細胞があるが、錐体には赤、緑、青の波長にピーク感度をもつ3種類の細胞がある。ヒトはこれらの3つの細胞の刺激の程度によってすべての色を感じる。(従って、カラーテレビのカメラでは、光を赤、緑、青の3色に分解し、それぞれの光の強さを電気信号として伝送して、ブラウン管など表示装置の赤、緑、青の光源の強度を変化させてもとの色を再現している。)

(2)

周期表のIIIaからVIIIおよびIbにわたる一連の元素で、原子またはそのイオンが不完全d電子殻をもつものをいう。遷移金属では、原子あたりの結合に寄与する電子数が多く、電子の海に供給する電子数が多いことが結合の強さをもたらし、高い融点と硬さをもたらしている。

(3)

誘電率の虚数部は、電磁波の損失を与える。電子レンジ内にはマイクロ波が放射されているが、食品においては、水分などの電気双極子がり、その共振周波数がマイクロ波付近にあり、そこで誘電率の虚数部がピークになるため、マイクロ波が吸収され食品が加熱される。一方、セラミクスにおいては、誘電率の虚数部のピークは赤外線の周波数にあるため、マイクロ波の吸収は少なく、加熱されない。

問題4

(30)

(1)

光の波長l[nm]と光子エネルギーE[eV]の間の関係式

 

E[eV] =h[Js]c[m/s]/(e[C]l[nm]×10-9)=1240/l[nm]

(2)

半導体(バンドギャップ)

透過光の色

そう考える理由

(a) Si (1.1eV)

可視光は透過しない(不透明、黒いずれも可)

吸収端の波長は1127nm(赤外)であり、これより短い波長は全部吸収する。従って、可視光では不透明である

(b) GaP (2.2eV)

橙色(オレンジ、朱赤いずれも可)

 

吸収端の波長は563nm(黄緑)で、これより長い波長を透過するので、目には赤、橙、黄の光がはいるので、合成された色は橙色に見える。

(c) CdS (室温2.42eV)

(0K2.6eV)

黄色

 

室温における吸収端の波長は512nm(青緑)で、緑、黄緑、黄、橙、赤が透過する。合成された色は黄色にみえる

(d) ZnSe (2.67eV)

(薄い)黄色

 

吸収端の波長は464nm()で、青緑、緑、黄緑、黄、橙、赤が透過する。無色に近い薄い黄色

(e) GaN (3.39eV)

無色透明

 

吸収端の波長は365nm(紫外)で、可視光(780-380nm)は全部透過する。従って無色である。

 (3)

半導体の透過色が青になるのは、どのような場合

 

半導体では吸収端より短い光のみ吸収するので、赤、橙、黄の着色はあるが、半導体自体で青というものはない。しかし、無色透明の半導体に赤〜緑の波長域を吸収する不純物が添加されていると、透過光は青色となる。

問題5

(20)

 

発光の分類

励起方法

応用例

(1)

フォトルミネセンス

蛍光灯、プラズマディスプレイ(PDP)

(2)

カソードルミネセンス

電子線

ブラウン管(CRT)、電界放出形ディスプレイ(FED)

(3)

真性エレクトロルミネセンス

電界

無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ、液晶のバックライト

(4)

注入形エレクトロルミネセンス

電子・ホールの注入

発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、大型壁面ディスプレイ、交通信号機