非定常操作

持続可能な社会へ向けて

 従来の大量生産、大量消費の社会から持続可能な社会へ転換するためのツールとしてプロセス強化という考え方があります。プロセス強化とは生産性や装置サイズ、省エネルギー性などの飛躍的な向上のための新たな装置、技術の開発を目指すことです。プロセス強化のひとつとして非定常操作があります。

 

プロセス強化

 

非定常操作とは

 従来のエネルギーや製品の生産方法では濃度や温度などが安定するように操作することが一般的であり、これを定常操作といいます。これに対して、濃度や温度を周期的に変化させて操作をすることを非定常操作といいます。反応系や条件によっては非定常操作が定常操作よりも高い効果が得られるという報告があり、注目されています。

非定常操作

原料供給の非定常操作

 現在スプレーパルス法という方法を用いて原料供給の非定常操作の研究を行っています。スプレーパルス法とは反応物の供給をスプレーのON/OFF操作によって行う方法です。触媒反応には大きく分けて「吸着」「反応」「脱離」の3つの段階があり、スプレーパルス法は反応物の供給がOFFの時間をつくり生成物の「脱離」を促進させるので、「脱離」が律速になっている反応系で高い効果が期待されています。

 

スプレーパルス法

 モデル反応には2-プロパノール脱水素反応を用いています。この反応はケミカルヒートポンプとして提案されている2-プロパノール(IPA)/アセトン /水素系の吸熱反応側であり、現在は蓄熱システムとして利用できないか検討しています。

温度の非定常操作

温度非定常操作

 現在、触媒反応の温度を非定常操作する研究を行っています。反応器に熱容量の小さいマイクロリアクタを用いての温度を周期的に変化させています。触媒反応には「吸着」「反応」「脱離」の3つの段階があり、低温では「吸着」が有利に、高温では「反応」と「脱離」が有利に、進行します。この性質を利用して、低温で反応物を「吸着」させ、素早く高温にして「反応」と「脱離」をさせることによって定常操作よりも高い反応性を目指します。