蚕学とは?


 農業の一部門である養蚕の歴史は数千年にも及び、人間との深い関わりから莫大な知見が蓄積されている。それらの知見は、養蚕業のみならず他の分野においても利用されており、今後されに広がる可能性を含有している。
 蚕学は蚕糸生物学の中心であり、繭生産をはじめとすつ蚕糸業において量と質に関する蚕品種の改良、蚕のあらゆる発育過程での制御等々、生産技術の向上に多大な貢献をしてきた。また、遺伝学、発生学、生理学などの基礎研究分野においても、カイコの研究が果たしてきた役割は大きい。
 一方、生物生産の主役である農業は、植物生産と動物生産に大別されるが、養蚕はその両方に関わる部門である。農学の体系の中では作物学、園芸学、養蚕学、畜産学などの多くの分野が認められているが、養蚕学はその中でも確たる位置を占めている。
 
 蚕学研究室は、蚕糸生物学科が解消した後 蚕に関わる教育研究を継承するために、旧家蚕遺伝学及び発生学講座が改称して成立した。当講座の教育研究の目的は、いうまでもなく蚕生物学を修得し、養蚕業を中心とした農業や関連産業に携わる人材を育成することにある。
 カイコに関する教育研究の基礎は、カイコの遺伝学である。発生や生理に関する分野も、遺伝学的な裏ずけがあるからこそ特異的に発展したのであり、当講座は40年以上も発生遺伝学や生理遺伝学の教育研究の中心としてきた。

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