レーザパッキング・コロイドエピタキシ
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レーザビームをレンズを通して集光すると,光のエネルギーが数ミクロンの領域に集中します.このような光の場に存在する微粒子には,光の圧力が作用します.微粒子には,ビーム中心に向かって増加する電場強度の勾配に比例する勾配力と,光が粒子によって散乱されることによって後方から押し出す方向に作用する散乱力が作用します.

この光の圧力を利用すると,溶液に浮遊する微粒子を照射レーザビーム内にパッキングすることができます.図2のように,プレパラートガラス上に微粒子の懸濁液を滴下します.溶液とガラス表面の境界にレーザビームを集光照射します.このとき,ビームの周りにある粒子は,光の勾配力によってビーム中心に吸い込まれるように移動させられます.粒子がビーム内に入ると,粒子は散乱力を受け,ガラス表面に押しつけられます.このように,ハードなガラス表面と,勾配力と散乱力というソフトな拘束力によって,複数の微粒子は集光領域に拘束され,ガラス面にパッキングされます.

集光領域に拘束された微粒子は,完全に接触はしておらず,狭いながらもビーム内でブラウン運動しています.そして,粒子は互いにエネルギーが安定な状態に自己配列してきます.このときの配列の仕方は,三角格子構造になります.この様子は図3に示されています.

このように粒子が配列した時点で溶液を乾燥させると,溶液の乾燥とともに溶媒の表面張力のため粒子同士が互いに引き付けあう自己集積化が進行します.その結果,三角格子構造の微粒子配列が完成します.さらに,溶液を滴下して,同様の操作を繰り返すことによって,図4に示すような,ピラミッド構造などを構築することができます.

図1 集光レーザビームの光の圧力
図2 レーザパッキング
図3 レーザパッキングによる自己配列
図4 コロイドエピタキシ