研究内容

  1. 種を通して保存された昆虫ストレス応答機構の解明
  2. 昆虫は環境変化に素早く適応できる能力をその体構造や生理代謝機構において進化させた結果、 地球上で大繁栄できたと考えられています。その適応システムのひとつとして、ストレスを受けた 際に発生する多量の活性酸素を素早く処理できる能力があります。昆虫はヒトなど他の生物と同様の 活性酸素処理システムも持ちますが、その詳細についてはよく分かっていませんでした。 昆虫がストレス因子をどのようにかわすのか、生体内のいずれの分子群を利用しているのかを 明らかにすることができれば、昆虫の環境適応戦略の仕組みの一端に迫ることができます。 研究室ではWet&Dry手法を組み合わせた解析により昆虫が他の生物にはない環境適応能力を持つ理由の解明に取り組んでいます。

    プレスリリース: 2016年07月22日昆虫はストレスを上手にかわす

    プレスリリース: 2019年02月15日活性酸素を除去する新型酵素を昆虫から発見

  3. カイコガ変異体のヒト疾患分子機序解析モデルへの応用
  4. パーキンソン病(Parkinson’s disease; PD) では、症状の進行に伴って血液中の尿酸量が 減少することが報告されていますが、その理由はこれまで分かりませんでした。PD研究で用いられている 生物種には、尿酸代謝系に異常を持つ変異体は発見されていません。当研究室では哺乳類にはない ユニークな表現型を持つカイコガ変異体系統を用い、マイクロアレイ・次世代シーケンサーによる 大規模遺伝子発現解析および生化学、分子生物学的手法を組み合わせて、 昆虫ヒト疾患解析モデル系候補の探索を行っています。

    プレスリリース: 2013年07月22日パーキンソン病様のカイコを発見

  5. 医薬品シードとして有用な昆虫由来化合物の探索
  6. 昆虫は強い生理活性を持つ毒成分を含む植物を利用し、積極的に体の中に蓄積および濃縮できるように進化してきました。 これらの生理活性成分は食草から吸収され、それぞれの昆虫種に特有の代謝を受けて変化した成分が含まれます。 昆虫体内や、昆虫の糞には人間の考えが及ばない新奇な構造を持つ化合物を含み、尚且つ昆虫代謝系の特徴から、 動物が吸収しやすい構造に代謝される利点があります。現在100万種以上存在することが報告されている昆虫から 狙った薬理作用を持つ昆虫種を探索出来るシステムを構築できれば、医薬品シードとして有用な化合物を効率良く 探索可能です。当研究室ではニューラルネットワークによる機械学習を用いて薬用昆虫資源探索モデルの開発を通し、昆虫から医薬品の候補と なるような 有用生理活性物質の探索を行っています。

    新聞掲載情報:日経産業新聞2016年6月23日掲載ナナフシの成分が効果            

  7. 昆虫類の家畜/水産用飼料としての利用開発
  8. 今後世界中において食料が不足することが懸念されています。 アメリカミズアブは生ゴミを食料とし、豊富なタンパク質や微量栄養成分を体内に蓄えることが知られており、 それを利用した良質な家畜および水産用飼料としての開発が待たれています。 研究室ではアメリカミズアブの特性を生化学的視点から研究し、代謝に関わる酵素類の網羅的同定を通して、より高い処理能力を持つアメリカミズアブの選抜に取り組んでいます。また、有用成分を体内により多く蓄積できる飼育方法を開発しています。 最終的には機能性を付加したアメリカミズアブ飼料を大規模に供給可能とすることを目指します。