食品および食品関連成分に潜在的な機能があることについて近年大きな関心が寄せられるようになってきました。特定保健用食品として、その機能性を認められたものはそのよい例です。食品および食品関連成分の潜在的な機能を顕在化して利用しようとすることは、地球上の資源の有効利用にも結びつくと考えられます。



 エラスチンは動脈壁、項靭帯、真皮等に含まれる、弾性線維を構成するタンパク質です。アミノ酸組成としては、グリシン、アラニン等の非極性アミノ酸を約80%、プロリンを約10%含む特異的な組成を示します。エラスチンは高度の不溶性を示すため、構造解析は困難であり、その利用科学はきわめて遅れています。我々はエラスチンの高度利用を目的として、可溶化エラスチンペプチドの性状を検討してきました。
非極性アミノ酸含量が高いことから、エラスチンペプチドは脂質親和性、乳化性を有するのではないかと考え、その可能性を検証したところ、水中油滴型(O/W 型)エマルションのみならず、油中水滴型(W/O 型)エマルションの安定性をも高める、というタンパク性の乳化剤としては非常にユニークな性質を有することを見いだすことができました。さらに、エラスチンペプチドが抗酸化能を有することも見出すことができました。抗酸化能の本体となるペプチドの配列についても検討を進めています。


REFERENCE

Hattori, M.; Yamaji-Tsukamoto, K.; Kumagai, H.; Feng, Y.; Takahashi, K. Antioxidative Activity of Soluble Elastin Peptides. J. Agric. Food Chem. 1998, 46, 2167-2170. [Abstract]

Hattori, M.; Takahashi, K. Pepsin-Solubilized Elastin as a W/O Emulsifier. Food Hydrocolloids 1993, 7, 327-335.[Abstract]


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