自然環境による流域分類

白木 克繁

流域は水の流れを考える上で重要な単位です。山の中の小さな谷筋も一つの流域ですし、利根川全体と一つの流域のくくりです。水環境を考えるとき、基本的に流域は分水嶺となる尾根を区切りに境界をわけますが、水循環を考えるときに地表面形状から分かる分水嶺が正しい境界といえるでしょうか?山地にしみ込んだ水は、土壌を浸透し地山となる基岩へ到達して土中を浸透します。これらの土中水は地表面形状から判断される分水嶺境界とは大きく異なる移動を示すことがあります。このような水の動きは、利用できる水の量と質の把握だけでなく、水の集中による土砂災害の発生の危険度の評価にも重要になってきます。このような土中水移動の実態を知るために、地質の異なる隣接する流域での水循環を比較するなど、近隣で複数の対照となる流域での水循環を観測し、分析することを行っています。流域の地質や断層の位置、表層の土層厚の分布の相違などを観測しています。


吉川 正人

流域は水や土砂の移動の単位であるため,流域環境と生物群集は互いにつながりを持つ.現在は河川植生を対象として,流域環境に支配される河川地形や土砂移動特性との関係を調べている.将来的には,河川植生だけでなく流域全体の植生分布のパターンと流域特性の関係を類型化し,地域の自然環境保全の基礎としたい.