獣害対策と管理技術

金子 弥生

既存の箱罠、およびエッグトラップ(アライグマに特化したアメリカ製の罠)は、本州ではニホンザル、アナグマ、テンがかかることがわかっており、捕獲者が手間を疎んで在来種でも殺処分する場合が多いことがわかっています。さらに前足を挟むタイプのエッグトラップは、捕獲した動物がパニックになるため、ワナの管理者が怪我をしたり、暴れた動物が骨折、脱臼、自分で肢を食いちぎったりする可能性があるため、人間と動物双方に問題があります。また、都市域では飼い猫や地域ネコとのトラブルも懸念されます。
 そのため、新たに開発中の動物記録装置(東京海洋大 古谷先生と共同)では、取得した画像データを遠隔地から取得することが可能となるため、哺乳類の生態調査スケールで必要とされる大面積の地域に複数機材をセットすれば、複数種、地点の同時並行調査が可能となる。さらに、捕獲にもこのシステムを応用し、「アライグマを選択的に捕獲する、他種にとっても安全な罠」を開発し、動物が入った後に在来種と外来種を識別し、目的以外の種はリリースする装置「ラクーンターミネーター」(仮称)を製作、その効果について実証試験を行っています。


小池 伸介

各地で様々な農林業被害に対する獣害対策が行われていますが、必ずしも成果が発揮できていません。そのための要因を明らかにするとともに、効率的な獣害対策実施のための基礎的な動物各種の生態的情報の蓄積を行っています。