土砂災害のメカニズムと危険予測

岩岡 正博

作業道作設のための適地ならびに不適地の条件の明確化。
作業道作設において危険箇所となる崖錐の、DEMを用いた抽出手法の開発。
同じく危険箇所となる流れ盤の安定条件に関する調査。
路面を侵食する水流の挙動の計測。


白木 克繁

土砂災害は集中豪雨、地震により主に発生します。造山運動が激しく、急峻な山地である日本では土砂災害は必ず起きると言っても過言ではありません。土砂災害の内、水に起因するものは、山体中の水の動きを把握することで、災害発生の部位と時刻を予測できることが期待できます。山体中の水の動きは、表層土層での水の動き、山体地山となる山体深部での水の動きを把握することが必要ですが、地表から見ることができないために推定することが困難となります。これらの見ることができない水の動きを、現在の地形が形成された理由、現地の地下水位変動の様子、数値シミュレーションによる土中水移動の予測、現地で観測される水質の変化、といった観点から推測の精度を上げていきます。災害発生の場所と時刻を推定できるまでの道のりは遠いですが、どの個所がもっとも危険であるか、といった順位を決めることは可能であると考えています。現地のモニタリングとパソコンによる数値シミュレーションを駆使することで、危険度の指標の精度を高めることを目指しています。


戸田 浩人

日本の森林は山岳地に存在するため、土砂流出防止は非常に重要な機能の一つである。森林の樹木や下層植生とそれらのリター(有機物)層が物理的に雨滴侵食や流亡を抑制することで、傾斜地でも土砂流出が抑えられている。また、リターが分解し土壌有機物となって透水性と保水性がバランスよく保たれることで降雨が土壌に浸透し、地表流が抑制されることも土砂流出防止に重要である。一方、土壌表面には水をはじく性質「撥水性」という現象があり、地表流発生の原因ともなる。撥水性は樹木や微生物から供給される有機物の質が影響し、腐植物質のうち化学的に安定した無極性部位の量が撥水性強度を決めるとされている。無極性部位はリグニンやワックスなどの樹木由来の成分に含まれ、これらの含有量は針葉樹で多く広葉樹で少ない。このような有機物分解と土壌化学から、土砂流出防止機能を高める森林・林床のタイプを考えて行く。


松本 武

森林整備対象地域における0次谷の分布と作業路網配置計画。