高校生の皆さんへ
高校生の皆さんへ
高校生の皆さんへ
微生物の世界は、まだまだわからないことだらけです。最近でも、海の底の堆積物の中に全く知られていなかった微生物だけの王国が存在することが報告され、世界中の研究者を驚かせました。
微生物は、わたくし達人間よりもはるかに多くの個体が地球上に存在しています。生育のスピードも私達に比べれば、ムチャクチャ早いのです。このような微生物の力のほんの一部を借りて、人類はお酒やお味噌、お醤油、お酢、魚醤、チーズ、ヨーグルト、ハムなど、様々な発酵・醸造食品を作っています。
わたくし達、微生物の研究をする者は、微生物は私達が知らない能力をまだまだたくさんもっていることを知っています。これらの能力を引き出せるかどうかは、研究する人にかかっているのです。このような無限の微生物の世界を覗いてみたいとは思いませんか?
微生物由来の薬や酵素、様々な代謝産物が私たちの生活の質(QOL)を向上させたり、生活に彩りを与えたりしていることをご存知でしょうか?
東京農工大学 農学部 応用生命科学科では、微生物の授業を通じてこのような世界を知ってもらいたいと思って準備しています。
また、わたくし達の研究室では、微生物を対象に醗酵や醸造に関わる基本的な現象を解明したいと思って研究をしています。現在は、特に醗酵や醸造に必要な酵素の生産がどのように行われているのか、微生物がどうやって自分自身の周囲の環境の状態を認識して、どんな反応をして酵素の生産が刺激されるのかということに興味を持っています。このような研究をしていると、これまで全く知られていなかった新しい微生物の能力が見つかってくることがあります。例えば、わたくし達は、麹菌が生分解性プラスチックを分解する酵素を分泌することを見出しています。別の微生物でも同じような酵素が見つかっています。この酵素を大量に生産する方法の開発などを進めて、環境問題の解決の助けになる仕組みを考えています。このように新しい発見は、また次の微生物の利用に役立つことになります。
わたくし達の研究室では、微生物の能力を借りて、人類の持続可能な豊な生活を維持できるよう努力したいと考えているのです。
もし、微生物に関する勉強や研究を行いたいと思っているようでしたら、ぜひ応用生命科学科のオープンキャンパスや模擬授業などに参加してみてください。また、大学祭ではわたくし達の研究室の紹介も行っていますので、遊びに来てください。あなたの知らない世界が待っているかもしれません。