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トトロのふるさと財団の環境教育事業

トトロのふるさと財団の環境教育事業

荻野豊(トトロのふるさと財団)
石川正行(東村山ふるさと歴史館)
門内政広(トトロのふるさと財団)
早川直美(トトロのふるさと財団)
安藤聡彦(埼玉大学)


1 トトロのふるさと財団の環境教育活動

東京都心からおよそ40キロメートルの距離にある「トトロのふるさと」狭山丘陵の自然を守るために、トトロのふるさと財団(以下「財団」と略す)では「トトロのふるさと基金」を設けて、1990年からナショナルトラスト活動を行ってきた。12年間のトラスト活動の実績として、これまでに累計で2億7千万円もの寄付が、1万人以上の市民のみなさんから寄せられている。この基金を活用して、狭山丘陵の豊かな自然を1991年に取得(トトロの森1号地)し、その後現在までに4個所の雑木林などを取得してきたところである。
トトロの森を地主さんから譲り受けるに当たって、財団は地元自治体と精力的な交渉を行い、その森を含む周囲の自然を一体として保全するよう働きかけてきた。「トトロの森」は、まわりの農地や雑木林などと強いつながりがあって初めて守っていけるのだという考えからだ。
「トトロの森1号地」の取得に関しては、所沢市と埼玉県が当該地周辺の森の取得に積極的に協力してくれた。また、「トトロの森2号地」の取得の場合では、所沢市と地権者の理解と協力があり、地権者がもっていたほとんどすべての雑木林を保全することができたことなど、行政とも力をあわせて保全に取り組む態勢を築き上げてきた。
そのほか、ナショナルトラスト活動とは直接の関係はないが、財団の保護活動の結果として、埼玉県や所沢市、あるいは東京都、東大和市等が公費で取得した緑地が狭山丘陵のあちこちに実現してきている。
このようにして、4箇所の「トトロの森」、トトロの森の周辺で行政が買い入れた緑地、埼玉県の事業である「緑の森博物館」、東京都の事業である「野山北・六道山公園」など、狭山丘陵の各地で広大な緑地が確保され、保全されることとなった。自然保護を志す市民運動の成果ともいえるこうした保全された緑地の実現は、まさに多くの市民のみなさんに支えられ、励まされ、パワーを結集することによって達成できたものといえる。
運動の成果は、まず真っ先に、そのパワーの源泉である市民のみなさんにお返ししなければならないが、その方法としては、子どもたちの環境教育の場としてこの森を使ってもらうことが最も望ましいお返しのあり方なのではないだろうか。
財団のナショナルトラスト活動は、トトロというアニメーションキャラクターを活動のシンボルとしている。そのために、お小遣いを貯めて基金に寄付をしてくれたり、学校のクラスでアルミの空き缶回収に取り組み、それで集めたお金を基金へ寄付したり、かわいいはげましのお便りをいただいたりするなど、大勢の子どもたちからいろいろな応援をいただいてきた。だから、子どもたちにとって親しみやすい雰囲気のもとで、狭山丘陵の自然のこと、狭山丘陵に生息する生きもののこと、里山のこと、地域の文化のことなどを学ぶことができる環境を用意することで、子どもたちからいただいた応援にこたえていきたいと考えたのだ。
幸いなことに、2002年度以降小中高校に「総合的な学習の時間」が本格的に導入される。子どもたちを狭山丘陵の自然の中に連れ出す時間枠はこれで確保された。あとは、活用できる場所に関するインフォメーションと、自然と向き合うための適切なヒントがそろえばいいのである。
さて、財団が狭山丘陵で展開したいと願っている環境教育のイメージは、次のとおりである。
 a. 自然の営みと人々の生活が調和して成立している里山の本質を理解する。
 b. 生きものに接近することを通して、里山の自然の豊かさを理解する。
 c. 伝統的な生活技術にふれることにより、先人の知恵の見事さを知る。
 d. 地域の歴史や特徴を理解し、地域に愛着と誇りを持てるようにする。
このような環境教育を実現するために、狭山丘陵を活用するための場所や施設、自然や文化財の情報などを盛り込んだ資料であって、学校現場で即戦力として使ってもらえるものとして、財団は『生きた教材・狭山丘陵 学習のてびき』を作成することにしたのである。

                                                    (荻野豊)


2 『生きた教材・狭山丘陵』の編集過程

  これまでにも、財団には学校側から狭山丘陵やナショナル・トラストに関する問い合わせが寄せられていた。これらは学校側あるいは担任の先生の個人的な取り組みであり、その都度財団は対応してきた。しかし、平成14年4月から導入される「総合的な学習の時間」にむけての取り組みが小・中学校で行なわれ始め、問い合わせも増加し、本格的に制度が導入されるとさらなる増加が予想された。
  財団では、こうした学校側の要望の受け皿として、また財団が目指す「里山の保全」の理解をうながすための「環境教育」を積極的に展開していくために、学校教員、博物館職員、ボランティア、研究者、学生、財団職員からなる環境教育特別委員会(以下委員会)が設置され、2000年8月から2002年3月までに20回の委員会が開催された。
  平成12年度の委員会では、まず財団が環境教育を進めるにあたって、@「トトロ」というキャラクターを活かし財団だからできることを目指す。A狭山丘陵をフィールドとして活用する。B学校に対して即戦力となる提案をしていくという基本方針を打ち立てた。その基本方針にのっとり、まず実際に小・中学校の先生から、総合的な学習の時間に関する学校側の実状を確認した。学校側の要望としては、学校ですぐ使えるような実践的なプログラムが重宝するということであった。そこで委員会では狭山丘陵をテーマとした手引書を作成し、提供していくことを決定した。
  手引書はまず素案を委員の間で作り、問題点や改善点を検討していく作業を行なった。その過程で手引書は、狭山丘陵のどこで何ができるのかといった施設や場所の情報提供やトラスト地の活用、生態系のしくみなど自然の情報、里山と人との関わりなどを内容として盛り込んでいくことが提案された。そして手引書のスタイルは、博物館等の冊子や書物などを参考とし、A4サイズのワークシート形式の体裁をとることが決められた。これは学校の先生が学習の内容によって、その目的に合ったワークシートを自由に選択し、それらを組み合わせ、ファイリングすることでオリジナルの環境教育プログラムとして使用してもらおうというものである。また、ワークシートはすぐに授業等で使えるように、シートの表面にはいろいろな分野での総論的な説明や各論的な説明、関連する分野や問い合わせ先など詳細情報などを記載し、シート裏面には実際に授業で学習を展開するためのヒント(事前学習用の設問と、実際に現地での体験学習用の設問やプログラム、そしてまとめとして事後学習用の設問など)を記載するという大枠が決定した。そして、シートも実際の授業等での使い勝手や要望を受けて内容の修正や、シートの追加などを適時行なっていくことが確認された。
  このような決定を受けて、平成13年度の委員会では手引書の構成を決定し、関係者に各分野の原稿執筆を依頼して具体的な作成作業に取りかかった。また手引書のタイトルも、財団として狭山丘陵を通じた環境教育を実践していきたいという願いを込めて「生きた教材・狭山丘陵 学習のてびき」と名付けられた。手引書作成は8月に製本できるように執筆、校正作業を進めた。
  また、手引書の作成と並行して、委員会では実際に総合的な学習の時間に関連した各学校の取り組みに協力したり、環境教育に関するセミナー、ワークショップ等への積極的な参加、そして他団体の環境教育の事例報告など、情報の収集やノウハウの蓄積を行ない、環境教育に対する認識を高めていった。
  こうした取り組みの中で、手引書を学校を中心とした多くの方々に知ってもらい、財団としての環境教育の考え方を周知する意味も込めた環境教育セミナーを企画し、8月25日(日)に『総合的な学習のための環境教育セミナー』として開催した。セミナーでは、東京学芸大学の原子栄一郎先生による講演と練馬区立高松小学校の満川尚美先生による実践報告、そして手引書を使って実際に狭山丘陵でのワークショップを行なった。こうしたセミナーを通じて、最終的に「施設」、「里山と人間」、「自然」の3部構成からなるワークシートと専用ファイルをセットにした手引書を狭山丘陵周辺の公立小中学校130校、協力団体、博物館、教育委員会等の行政、財団関係者などに寄贈し、同時に販売も開始し、マスコミを通じて手引書の活用を呼びかけ、大きな反響があった。
  現在、手引書は内容の修正や追加がなされた改訂版が出版され、委員会ではその手引書を利用したワークショップを定期的に企画し、実践している。今後はこうした実践を通じてより内容の豊かな、まさに「生きた教材」として成長を続ける手引書となるであろう。
  しかし、委員会はこの手引書作成が目的ではない。手引書はあくまでも財団が目指す里山の保全を前提とした環境教育へのきっかけづくりにすぎない。その蒔いたきっかけの受け皿として、委員会では狭山丘陵での環境教育の推進していくために、丘陵の案内や講師派遣、環境教育プログラムの実践、他団体や地域の人材の紹介、トトロの森での案内ボランティアの育成などを継続的・多角的な取り組みを検討している。こうした環境教育を通じて里山と人との関わりを自らが主体的に考え、狭山丘陵を守っていくことの意義や精神を学び、自分たちが今できることを実行し未来に活かしてもらえればと考えている。以下、具体的にこの手引書を用いた実践事例について、報告することにしたい。

                                                    (石川正行)


3 『生きた教材・狭山丘陵』の活用について

 環境教育委員会では、総合的な学習の時間において有効に手引書を活用してもらうためには、われわれ自身が実践、検証し普及していくことが必要であり、かつ手引書を学習プログラムとして組み立てて情報発信していくことも必要なのだと考えた。
 すでに財団では、2000年度から埼玉県所沢市立荒幡小学校でナショナルトラスト地のトトロの森2号地を活用した体験学習『トトロタイム』を学校と財団の協力で実施してきた経緯がある。そこで委員会は、手引書の編集過程と並行して、様々なプログラムを実践し、それをふたたび手引書に反映していくという計画をたてたのであった。
 まず2001年の2月には5年生が森の落し物探しをし、どんぐりを持ち帰り鉢植えにして育てるといった活動に取り組んでみた。自然と自分との関係を実体験してもらうためである。
 7月には、6年生になった子どもたちがトトロの森2号地でトトロ調査員として森の虫探しをして、よく観察し覚えて教室で絵に描いてみるという取り組みを行った。このときには、シデムシとオサムシとザトウムシが多く見つかっている。
 子どもたちは、2月と7月では虫がまったく違っているので驚いた様子であった。感想文からは、「今度くるときはどんな虫がいるんだろう」と、普段なら目立たない虫でも子どもたちが関心を持って観察していた様子が見てとれた。少し育ったどんぐりは、一回り大きな鉢に植え替えをしたのだが、この時点で、育っているどんぐりは全体の3分の2になってしまっていた。
 11月には、トトロの森と仲良くなるため、『とにかく遊ぶ−木登りをしよう』というプログラムに取り組んでみた。このときは、ただ登るのではなく、協力してグループ全員が登れることを課題にしている。
 このとき、子どもたちは登りやすい木と登りにくい木があることに気づき、登りやすい形をお互いに教えあっていたようである。そして、今まで育ててきたどんぐりの苗木をトトロの森へ植え戻したのであるが、その割合は全体の3分の1になっていたのだった。
 秋のうちにトトロの森2号地では、過去に萌芽更新してから30年たつためと、子どもたちのどんぐりが育つ空間を確保するため、財団のボランティアで萌芽更新をおこなっていた。あらかじめ学校では、手引書を利用して萌芽更新の授業をしてもらっていたので、子どもたちは、木が切られた雑木林の意味と、自分たちがどんぐりを植え戻す意味をよく理解していたのだった。
 12月には、子どもたちはトトロの森2号地で落ち葉掃きをし落ち葉のマットで遊んだあと、近くの畑の落ち葉だめに落ち葉を運んだ。この経験で、1月の市民参加の落ち葉はきに自主的に参加する生徒も現れている。また、2月には萌芽更新で伐採した材を運び出し、炭焼きの会の方たちと炭焼きとシイタケの駒打ちを行った。子どもたちは、学校を卒業した後もシイタケを家で育て、雑木林と生活のつながりを実感することになる。
 これらの学習の意味は、子供たちの感想文から読みとることができる。「この1年間で自然の不思議やすごさなどがわかりました。森林や雑木林なんて放っておいても大丈夫だと思っていたけど、見えない人たちの支えがあって森があるということを知りました。」「私はこの1年間トトロタイムの活動をしてきた。そして、自然と遊ぶ楽しさを感じた。人に習うのではなく、自分で感じたのだ、と思う。教科書には書いていない、だけど大切なことを学んだ。私はこんな機会を与えてくれた先生、一生懸命に指導してくださった方に大変感謝しています。中学校にいっても、今までのたくさんの体験をいかして自然を大切にしていきたい。」
   ここから私たち環境教育委員会のメンバーも、遊ぶことは少しヒントが与えられると学びになるのだということを確信したのである。
 『生きた教材・狭山丘陵』は観察図鑑としてではなく、雑木林と人の関わりに気づいてもらえるよう作成されている。今のところ授業に必要な内容のシートを単体で利用することが多いが、今後シートを組み合わせて学習プログラムに仕立てていくことが求められると思われる。しかも、それを使用する立場の人が自主的に展開できることが重要だろう。そのために、財団では手引書を活用した学習プログラムの作成と検証のためのワークショップにすでに取り組み始めている。
 財団は、その活動範囲が狭山丘陵周辺であり、行政の枠にとらわれていないことが強みではないだろうか。今後は、学習プログラムの実践をしていくなかで、行政の枠を超えた学校同士、また学校の中と外との連携を図り、子供たちの視野がより広いものになるよう企画していきたいと考えている。そのために、今後学校との信頼関係を築くことも重要なポイントだが、子どもや教師だけでなく父母をもまきこんだ財団ならではの呼びかけ方を探っていかなければならないと考えている。
 この点で、昨年度所沢市荒幡小学校で11月におこなった『森の落し物でトトロの世界を表現しよう』の作品が、やはり狭山丘陵をフィールドに環境教育を実践していた東大和市立第一小学校で紹介され、東大和市立郷土博物館でロビー展示されたことは重要なことであると考えている。これがきっかけとなって、学校合同の環境教育授業の実現が期待されるところである。
 私たち環境教育委員会が作成した手引書は、使用するたびに改訂を重ね、つねに『生きた教材』でありつづけたいものだと思う。

                                             (門内政広・早川直美)


4 財団による環境教育事業の意義について

  政府レベルでの最も初期の環境教育施策に関するまとまった提言である『「みんなで築くよりよい環境」を求めて』(環境庁環境教育懇談会、1988年)は、課題のひとつとして「環境教育システムの構築」をあげ、行政とともに民間のイニシアティヴの重要性を指摘していた。
民間においては、中央、地方を通じ、教育学習活動、実践活動の中核となる民間団体や良きリーダーの存在が不可欠であり、情報提供や学習機会提供等のシステムを構成する主体として積極的に機能することが期待される。(注1)
  だが、そのような民間団体が地域に根を下ろして継続的に地域の環境教育を支援していくような体制は日本においてはなかなか形成されにくく、そのことが学校において環境教育が行われる際のひとつのネックともなってきたのだった。
  「トトロのふるさと基金」が「トトロのふるさと財団」として法人格を取得したことは、「トトロの森」のみならず狭山丘陵全体の保全が民間レベルで創造的に展開されるための拠点の設置という意味できわめて大きな意義を持っている。けれども、同時に、そこに環境教育委員会がおかれこれまで見てきたような事業が展開され始めたことは、さきの懇談会報告書の求めた「情報提供や学習機会提供等のシステムを構成する主体として積極的に機能する」民間団体がたしかな基盤をもって地域的に形成され始め、環境教育の地域システムを形成する新たな主体として登場してきた、という意味で同じように重要な意味を有するものであると解される。現在、管見の限りでも、大阪市西淀川区の「あおぞら財団」や倉敷市の「水島地域環境再生財団」のように公害都市からの環境再生をめざす諸財団においても環境教育事業が展開され始めているが、トトロのふるさと財団の場合は里山の保全を課題とする財団の環境教育事業という意味で、独自の意義を持つものだろう 。(注2)
  また、さらに注目したいことは、「里山の保全をナショナルトラストの手法で実践する国所管のはじめての財団法人 (注3)」である財団がトラスト活動の成果として保全すべき土地を自ら所有し、その面積を徐々にではあれ拡大しつつあることである。日本において土地の公共性は、からくも行政の介入によって保持されてきた。だが、例えばイギリスなどに典型的に見られるように、それはもっと多様なセクターによって維持され、環境資源として活用されてしかるべきではないだろうか (注4)。財団が当面わずかとは言え保全すべき土地を所有しその活用の仕方を模索し始めたことは、民間団体がエコロジカルな空間をつくりだし、その管理や活用を通して新たな人間と環境とのかかわりが創造される可能性が広がり始めたことを意味しているのではないか。ここでは、財団が単なる民間ベースの新たな環境教育セクターであるということにとどまらず、環境教育に不可欠の空間そのものを自ら所有していることに、とりわけ注意を喚起したいと思う。
  財団の環境教育事業について、いまひとつ注目してみたいのは、このたび編纂・発行された『生きた教材・狭山丘陵 学習の手引き』である。その構成は、次のようになっている。

 【1】 施設について
   (1・1)狭山丘陵周辺の緑地や公園の紹介
   (1・2)狭山丘陵周辺の博物館や資料館の紹介
 【2】 里山と人間に関すること
   (2・1)人間の生活や、里山について
   (2・2)人間の歴史や里山丘陵周辺の遺跡について
   (2・3)里山丘陵周辺の環境保全活動について
 【3】 自然に関すること
   (3・0)生態系について
   (3・1)植物について
   (3・2)哺乳動物について
   (3・3)昆虫類や水性生物について
   (3・4)鳥類について
   (3・5)地形について
 【やってみよう】

 【3】の「自然に関すること」だけならば、例えばおよそ1世紀ほど前にアメリカの自然学習(nature-study)運動のひとつの拠点であったコーネル大学で出されたリーフレット(注5)以来枚挙の暇がないだろう。だが、ここにおいて里山という特性を生かし、人々の環境とのかかわりの歴史や現状、さらには環境保全にかかわる活動や施設にまで視野を広げていることは、財団の考える環境教育事業の内容論としてすこぶる興味深い。それは、まさに「里山の環境学」(注6)の教材化の試みと言えるだろう。
  このように、トトロのふるさと財団の環境教育事業は、これまでの環境教育関連団体にはない特性を有していると思われるのであるが、そこには同時に課題も少なくない。
  何よりも学校への支援体制を今後どう整備していくのか、ということがまずは問われることになるだろう。それは、教材の準備やプログラムの作成など様々であるが、とりわけその支援を担いうるスタッフの養成が不可欠である。財団には、これまでの長い活動の歴史を反映して、狭山丘陵の環境資源についての膨大な資料やデータが保存されている。だが、今後はそれらを子どもや一般市民と共有していくための多様な方法を開発し、それらの方法をも身につけたスタッフを養成していくことが求められている。
  また、狭山丘陵の地域的な広がりを考慮するとき、自治体の枠を超えて周辺自治体で活動を行っている様々な民間団体とのネットワーク化をすすめることにより、「生物資源に依拠した循環型社会の再構築 」を視野に入れた環境教育事業の組織化を進めていくことが必要になってくるものと思われる。

                                                    (安藤聡彦)





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