カイコの作るシルクの構造

シルクI型モデル⇒




1.今までに提案されてきたシルクの繊維化後の構造(シルクII型モデル)



下の図は、1955年にL.ポーリングらによって提案された構造モデルです。
このモデルでは、主にアラニンとグリシンからなる一本の分子が逆平行に並んで、一枚のシートが作られ,そのシートが幾層にも重なっている「ベータシート」と呼ばれる構造を形成しています。




実はポーリングらが提案したシルクU型の構造モデルには構造と物性の相関性がありません。物性は構造に起因するものなので、このモデルはシルクU型の決定的な構造モデルとは言い切れません。


このような背景のもと、当研究室でさらにシルクU型について研究を進めた結果、下のような構造モデルを解明することが出来ました。





2.新たに解明されたシルクII型の不均一構造モデル





2001年、本研究室の研究の結果、シルクU型の構造は上の図のように
1.シート間のアラニンのメチル基が同方向を向いている
2.シート間のアラニンのメチル基が異なる方向を向いている
3.シルクT型がくずれた構造
という三つの成分が混在していることが明らかにされました。



<SilkT決定の翌朝の写真>