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小テスト回答のヒントは、平成15年度の「質問に対する回答など」をご覧下さい。
質問に対する回答など
10月 3日クラス
質問と回答
「病原微生物学」が「食品衛生コース」の選択科目になっている理由は?
詳しい経緯は存じませんが、本日講義でご紹介したように、市場病害などで植物病原は密接に食品に関係しています。また、植物病原の中には、マイコトキシンなど、食品に残留すると困る物質を生産するものがいます。農薬残留も関係します。
Actual yieldをEcomonic yieldに近づけるためにはどうすると良いのか?
基本的には、農薬の使用、病害抵抗性品種の利用などで、収量をあげることを試みます。
土壌病害の防除はどうするのか?
後日各論で紹介しますが、、物理的防除、化学的防除、生物学的防除あるいはその組合せで土壌病害を防ぎます。「完璧に病原体を殺せるのか」とのご質問を頂きました。病原体のみを完璧に殺す方法はありません。そのため、土壌燻蒸などの処理を行うと、土壌微生物層が失われ、緩衝能が減少して病害が激しくなることも報告されています。
高知で発生したトマト萎凋病の病原はどこから来たのか?
高知で発生した萎凋病菌はそれまで高知で未発生だったレース3でした。そのバイオタイプ(型)はこれまで我が国で報告の無いものでした。確実な由来はわかりませんが、かなり前に当該地域に定着したレース2の変異で生じた、種子などが海外から運んだ、などの可能性があります。
ポストハーベスト病害に対する対処法はあるのか?
日本では収穫した途端に農薬を使用することができなくなります。しかし、海外では収穫後でも農薬を使用できる国もあります。ポストハーベスト病害の多くは、圃場ですでに感染していた病原が、保存・流通段階で病原性を発揮することによって起こりますので、圃場衛生に注意をするなどのことが必要です。
10月17日クラス
質問と回答
生物の「系統」と「分類」の違いについてのコメントたくさん
「系統」と「分類」の違いを考えるきっかけになった。などのご意見を多数いただきました。「分類は主観、系統は客観、という理解で良いか?」とのご質問をいただきました。分類は決して「客観的」ではありません。講義でご紹介したように、系統樹を水平面で切ると、分類群の範囲になります。その切る高さが研究者によって異なります
病原の土壌中での生存期間はどのように測定するのか?
菌核などの菌体をナイロン袋に入れ、土壌に埋設して、ある時間後に掘り出してその生存状況を調べます。ただし、数十年もの長い残存はそのような実験ではやりにくいので、過去に出ていた病気が復活することなどで生存期間を推定します。
個体に複数の病気が罹るとどれが優先されるのか?
2つ以上の病気が感染することで、より病徴発現が促進される場合もあります。
10月24日クラス
質問と回答
菌の遺伝子の変異の確率は動物や植物より高いのか?
菌は、基本的に「からだ」を作らず、単細胞に近い胞子や菌糸断片などで増殖します。この場合に、たくさんの後代細胞を作りますので、変異の確率が動物や植物と同じでも、変異した細胞が出現する可能性が高く、これが生存に有利だったりした場合は選択的に生存、優占する可能性があります。
子嚢殻と子嚢が雌として機能した細胞の形質由来であるというのはどういう意味か?
子嚢菌では、交配は雄として機能する細胞(核相n)と、雌として機能する細胞(核相n)の間で起こります。核融合後に、染色体が倍加(2n;四分染色体)、減数分裂と2度の体細胞分裂の結果、通常8個の子のう胞子(核相n)が形成されます。この8個の子のう胞子は4個ずつ、雄由来の遺伝子と雌由来の遺伝子を持ちます。講義でご紹介したように、交配型(1/2)と有色/アルビノを決定する遺伝子が連鎖していない(異なる染色体に乗っている)場合は、それぞれが独立して後代に伝わりますので、交配型1で有色:交配型1でアルビノ:交配型2で有色:交配型2でアルビノの子嚢胞子が2こずつで形成されます。この子嚢胞子は、子嚢という袋の中に形成され、さらに子嚢は子嚢殻と呼ばれる器官の中に形成されますが、この子嚢および子嚢殻は雌の細胞由来の形質を呈します。
子嚢菌の交配型MAT1-1とMAT1-2はどのように決まるのか?
交配型遺伝子によって決定されます。交配型遺伝子は同じ遺伝子座に位置する2つの対立形質(MA1-1およびMAT1-2)のいずれかを持つかによって決定されます。以上の病気が感染することで、より病徴発現が促進される場合もあります。交配型遺伝子は、フェロモンやフェロモンレセプターの発現を制御することによって、交配パートナーの決定につながります。
10月31日クラス
質問と回答
菌糸が切断されたことを菌はどう認識するのか?
論文が見当たりませんが、イオンの急激な流出など、細胞内の変化を認識していると考えられます。
セクターを形成することに依る意義は意味か?
セクターは、培地上の菌叢で観察される現象ですが、これは、講義でご紹介したように、(1)突然変異、あるいは、(2)異核共存状態(ヘテロカリオン heterokaryon)で機能する核が交代する、ことによって生じるとされています。いずれの場合も、菌にとって、環境の変化に対応できるようになるという利点が想定されます。異核共存状態の細胞は、ほぼ菌類でしか知られておらず、これを調節して生活・生存しているとすると、他の生物には無い機能であるということができます。
根こぶ病菌の休眠胞子を発芽させる方法はあるのか?
根こぶ病菌の宿主であるアブラナ科植物の抽出物や土壌浸出液で発芽が進むとされていますが、講義でご紹介したように、その発芽率はさほど高くありません。同様な研究例は、シストセンチュウのシストの孵化でも行われており、講義の中でご紹介する予定です。いずれも、宿主が不在の状態で発芽・孵化させ、密度低下による病害制御に応用することを目指した研究例です。
反オーキシン活性物質で根こぶ形成を抑制できるとのことだが、植物への影響は無いのか?
もちろん濃度依存であると思います。実際、アブラナ科植物では、カブなどで利用する胚軸や地下部が肥大する際にオーキシンが関与しており、そのためオーキシン生合成経路の研究も進められています。ハクサイでは地下部は利用しませんので、こぶの形成だけを抑制し、収穫する地上部に影響を及ぼさないような利用法が可能かもしれません。
菌がウイルスを伝搬するということだが、ウイルスは菌に感染するのか?
これまで知られている菌(変形菌も含む)に媒介されるウイルスは、概ね、菌の表面に付着し、菌とともに植物組織や細胞に入るとされています。自力での侵入力ができないウイルスが菌の力を借りている例です。なお、菌に感染するウイルスも知られています。農工大では、細胞分子の森山先生がご専門です。
11月 7日クラス
質問と回答
レタスビッグベイン病に罹ったレタスが多いとの話だったが、生育に悪影響は無いのか?
レタスビッグベイン病に罹ったレタスでは、葉脈の色がぬけ, 外葉が白く縮れる症状を示します。特に、感染ウイルス密度が高いと、生育が遅れ、結球しないため、生産に影響があります。「味に影響はあるのか?」とのご質問をいただきましたが、論文などは見つかりませんでした。軽度感染株は流通するとのことですので、大きな味の劣化はないものと思われます。
Rhizopus菌の生活環で隣り合った菌糸の間で接合胞子を形成(有性生殖)しているが、この菌はホモタリックなのか?
接合菌にも、ホモタリックおよびヘテロタリックな交配様式を持つ菌が存在するとされています。図は、2つの菌糸が出会った場合を示しています。ヘテロタリックだったとすると、2つの菌糸の交配型が異なっていることになります。なお、この菌の菌糸は、雄、雌ともに同型であることも示しています(Phytophthoraのように、蔵精器、造卵器のような特殊な器官はつくりません)。
遊走子はとても有利なのに、なぜツボカビ以外は遊走子を作らないのか?
もともと、菌は水の豊富な環境で生活していたと思われますが、その後の進化の過程で、生活環境が変化、空気中で生活する菌も増え、分生子等を飛散する方が便利な種が登場したと考えられます。
11月21日クラス
質問と回答
さび病菌の銹胞子などの「n+n」の意味は?
講義の中でもご紹介したと思いますが、核相nの細胞が細胞融合し、核融合に至っていない状態の核相を示しています。
ムギ類黒さび病菌などのさび病菌が夏胞子と冬胞子を作る理由は?
お答えするのが難しいですが、夏胞子は数をふやすために有利であり、冬胞子は耐久し易いと考えられます。
どうしてさび病菌の中で異種寄生のものが生じたのか?
お答えするのが難しいですが、さび病菌はたくさんの胞子を飛散させますので、そのうち一部が偶然到達先の植物体上で増殖可能であり、また、そこでたくさんの胞子をつくり飛散させたものが偶然もとの宿主に戻った、ということを繰り返すうちに宿主交代が固定されたのではないかと想定されます。また、「異種寄生と同種寄生とどちらが生存に有利か?」、「異種寄生と同種寄生とどちらが進化的に元か?」というご質問もいただきました。どちらも回答するのが難しいですが、現在は、異種寄生のものと同種寄生のものがありますので、その病原にとってはその様式が有利であると考えられます。たとえ、宿主に到達できない胞子が多いという危険性があっても、異種寄生のほうが有利な点があるのでしょう。進化的には同種寄生が先なのでしょうか?
水平伝播と垂直伝搬についてもう一度知りたい
水平伝搬は、当代の個体間で病原が伝搬し、主に、病原や病気が拡大します。垂直伝搬は次世代に病原が伝搬されることを言います。ムギ類裸黒穂病菌が黒穂胞子を飛ばして健全株の花器に感染するのは水平伝搬(数が増えます)、花器に感染した菌が胚などに侵入し、汚染種子となり、翌年種子を蒔いた際に発病してくる場合、種子による垂直伝搬として理解します。
イネ紋枯病菌は菌核が田面水を漂って感染するとのことだったが、栽培化される前の野生イネでは紋枯病はなかったのか?
紋枯病菌であるRhizoctonia solaniはイネ以外の植物にも感染します。現在はある程度の寄主特異性が知られていますが、もとはかなり多犯性だったと思われます。もともとは、イネに異なる様式(例えば、地際部)で感染して、病害を起こしていなものが、水田での栽培が始まり、ご紹介したような様式で感染して重要病害として問題となるようになったのでは無いかと思います。栽培様式の変化などでそれまで問題でなかった病害が大きな問題となったり、逆に、問題であった病害があまり起こらなくなったりする場合があります。
白絹病はなぜそのような病名がついているのか?
ビロード状の白色菌糸を速やかに伸長し、植物組織を覆ったりするため、その標徴を白絹病と表現したものと思われます。
11月28日クラス
質問と回答
子嚢菌の子嚢殻の進化はどのようなメリットがあるのか?
特に、閉子嚢殻をつくる菌には、子嚢殻が高温や低温に耐性であるものが知られており、耐久性が増すと考えられています。
カンキツ類みどりかび病菌は生育ステージのどこでペクチナーゼを分泌するのか?
この病原菌は、ペクチンを分解して、細胞間隙に侵入/進展します。進展の際には、ペクチン分解産物基質としてエネルギー生産を行います。したがって、感染初期からペクチナーゼを分泌しているものと思われます。
種子採種圃場以外ではばか苗病の防除をしなくても良いのでは?
確かに、次世代への伝搬に汚染種子が関与しているため、採種圃場でのばか苗防除は重要です。米の生産圃場でばか苗病が発生すると、株枯れや、ひどい汚染をした粒は実らない、など結果的に生産量の減少につながるため、防除が必要です。
Fusarium oxysporumが菌株によって宿主特異性を示すが、多犯性であるより有利なのか?
Fusarium oxysporumは多くの場合、根から侵入して維管束に入ります。そのため、他の菌との「場」の取り合いが少いと考えられます。従って、多犯性であるより、限れた宿主に感染できる方が自分の住まいを確実に維持でき、有利なのでは無いかと考えられます。「Fusarium oxysporumの小型染色体を、プラスミドの様に物質生産などに使えるか?」とのご質問をいただきました。すでに小型染色体の遺伝子を破壊したり挿入したりする実験はかなり行われており、技術的にはさほど高度ではありません。例えば、小型染色体上に抗菌性抗生物質を分解する遺伝子を導入、抗生物質に耐性の菌を作出のは比較的容易です。
イネいもち病の「いもち」の意味は?
「稲熱」という漢字を書きます。罹病したイネの葉に現れる症状が、イネが高熱におかされ、あるいは熱湯を浴びて、やけどを負ったような状態を示すことからこのような病名になったとされています。
12月 5日クラス
質問と回答
「多犯性」と「多氾性」のどちらが正しいか?
スライドと板書で異なる漢字を用い申し訳ありません。教科書などによって異なる漢字を使用しているようですが、「多犯性」としている本が多いようです。
ペクチンをペクチナーゼで分解して組織に侵入した菌の栄養源は何か?
ペクチンはペクチナーゼで分解されて単糖であるガラクツロン酸になります。菌によってはこれを資化して生活します。従って、細胞に侵入しなくても細胞間隙から栄養源を得られるとされています。
Botrytis cinereaを人工接種することで貴腐ブドウをつくれないのか?
可能ですが、基本的に貴腐ワインはB. cinereaが自然感染してできた貴腐ブドウから醸造することになっています。
うどんこ病菌にとって、絶対寄生で寄主特異性が高いことは不利でないのか?
決まった宿主の上でたくさんの分生子を形成して感染拡大するうどんこ病菌の姿は、それが不利に働いているようには感じられません。
トウモロコシのT系統とO系統は何が違うのか?
トウモロコシは基本的に他殖(他家受粉)のものが多く、良好な特性を固定して保ち、利用することが困難でした。そこで、自殖性のトウモロコシ(O系統)を用い、しかもハイブリッドによる良好な品種を作ることが試みられました。その際、ハイブリッド種子をつくる上で問題となるのは、自殖をいかに防ぐかという事になります。雌として使用する親の除雄(雄花を取ること)は大変な作業である上に、除去を忘れる危険性をはらんでいました。これを解決すべく、米国で1960年代に、細胞質有性不稔系統(Texas系統:T系統)の利用が行われ、これを利用して採取したT系統のトウモロコシが急速に普及しました。この細胞質有性不稔は、ミトコンドリアDNAに乗っているT-urf13という遺伝子に関連して減数分裂の不全によって起こります。ところが、この遺伝子をもつミトコンドリアの膜のみを通過できるT-toxinという宿主特異的毒素を産生するCochliobolus heterostrophusに、T系統のトウモロコシは非常に弱く、1970年ごろにごま葉枯病が大発生し、T系統が品種崩壊するという事態に陥った、という経緯があります。講義で使用したスライドの写真は1970年代に撮影されたもので、一面のT系統トウモロコシが枯れている中に1本あるO系統トウモロコシは緑に生育しています。
AK毒素抵抗性の二十世紀梨とは?
黒斑病に感受性の二十世紀の苗木にガンマフィールドでガンマ線を照射し、AK毒素を用いて耐病性の変異体「ゴールド二十世紀」が選抜され、利用されています。AK毒素の変異によるこの耐病性品種の無効化の情報はまだありません。
12月12日クラス
質問と回答
病原の学名に出てくるf. sp.、pathotype、pv.はどう決められるのか?
f. sp.は生理的分化型、pathotypeは病原型、pv.は病原性品種を意味し、宿主特異性などに基いて決定されています。pathotypeは分類の正式な用語ではありません。最初に決定した命名者がどれを使用したかでその後も同じものが使われることが多いようです。なお、講義でご紹介したように、いずれも病原性や宿主特異性等に基づく植物病理分野での分類であり、生物学上の学名では無いことに注意してください。
栽培様式などが変化することで発生に多少に影響した病気の例は、イネもみ枯細菌病やいね白葉枯病以外にもあるのか?
菌類による病害の各論でご紹介した、T-毒素を産生するトウモロコシごま葉枯病菌は、T系統のトウモロコシの栽培拡大によって大発生しましたが、これもそのような例の1つであると言うことができます。この他、イネばか苗病が自家採取の拡大や種子消毒の低減によって顕在化したのも同様な例ということができるでしょう。
菌による病害でもハローの様に病斑がグラデーションになることがあるのか?
ハローは、主に細菌病で、細菌の存在部の外縁に細菌が産生する毒素によってできる変色部で、毒素の濃度によってグラデーションになることがあります。菌による病斑でもハローが生じる場合が知られている(Pyrenophora属菌など)が、植物の反応によるものであったり、消化酵素によるものであったり、ハローを伴わない場合が多いようです。
ファイトプラズマとマイコプラズマの違いは?
ファイトプラズマは、発見からかなりの間、マイコプラズマ様微生物(MLO)と呼ばれていました。難培養ではあるものの培養可能なマイコプラズマと異なりファイトプラズマは今のところ培養に成功した例はありません。「Phyto-」は「植物の」の意味で、植物に感染性を有するマイコプラズマに似た小さな細菌という意味でファイトプラズマという属名が提案されていますが、まだ正式には認められていない属です。「ファイトプラズマのスライドはmoodleに上がっているか?」というご質問をいただきました。12月12日のところに「7」として上げているスライドにあります。細菌のスライド「6」と別になっていて、わかりにくく申し訳ありません。
12月19日クラス
質問と回答
ネグサレセンチュウなどの対抗植物として、フレンチマリーゴールドとアフリカンマリーゴールドで効果は異なるのか?
農研機構の研究などでマリーゴールドの品種(系統?)によって、対抗植物としての効果のある線虫の種が異なることが報告されています。ただし、この差が、線虫が侵入する/しない、生育抑制物質の産生の有無、季節などの何に要因があるのか記載されている論文などは見当たりませんでした。
線虫など土壌を介して運ばれる病原の他の圃場への伝搬はどのようにして防ぐのか?
風、水、苗、農業機械(トラクターなど)、ヒトなど様々なものが、土壌を介して病原を運びます。例えば、北海道種馬鈴しょ協議会のパンフレットを参考にしてください。JA東京みどりのホームページにも、「鍬や長靴、トラクターのロータリーやタイヤなどはよく洗浄してください。」という記述があります。「シストはどのくらい生存するのか?」との質問をいただきました。シストは卵を含んだ状態で長い場合には10年以上生残すると言われています。
タマネギの色、渋柿のタンニン、ダイコンの線虫、マコモタケなど随分身近に植物病原に関する現象があるものだと感じた。
これを感じていただきたくできるだけ実物をお見せし、また、身近なものを講義でご紹介しています。実際に、農業は我々の食料生産の場であり、そこで起こる障害が我々の研究・学習対象ですから、身近にあるものが多いです。身近に感じると、理解しやすいと思います。
植物組織に誘導される抵抗性は、動物の免疫のようなものに感じた?アレルギーのような過剰反応もあるのか?
講義でご紹介したように、20時間程度で起きてくる、病原を局所に閉じ込める反応には過敏感反応と呼ばれる一部組織のプログラム細胞死を伴う反応があります。この他、次回ご紹介する全身獲得抵抗性が強く発現する際には、植物の生育が抑制される場合も知られています。
1月16日クラス
質問と回答
コムギ立枯病菌がエンバクに感染できない理由は?
エンバクが持つ抗菌性のアベナシン(サポニン類)を、エンバク立枯病菌は代謝できますが、コムギ立枯病菌は代謝できないためとされています。
植物病原が、植物を認識、付着、侵入、進展、発病するそれぞれの過程が重要とのことだが、最も防除しやすいのはどこか?
植物病原が病気を引き起こすには、認識、接近、付着、侵入、進展、発病などのすべての過程を完遂する必要がありますので、どこもが防除のポイントになりえます。講義の各論でご紹介した病原の生活環では、これらの過程の重要なところ、興味深いところをご紹介し、それが防除ポイントになり得ることを考えていただきたいと考えました。そのため、病原に依って、防除ポイントも異なる場合があります。普遍的に使用されている化学殺菌剤は、基本的に病原を殺すことを目的としており、付着から侵入の過程で防除しているということができます。抵抗性誘導などによる場合は、侵入~進展を防いでいると考えることができます。
1月23日に定期試験を実施しました
試験は、以下の要領で行いました。
『試験に際しては、12/19に配布したB4用紙(両面使用可)1人1枚を持ち込み可とします。参考書、講義で配布したプリント、ノートなどは持ち込めません。試験前に講義のプリント・ノートおよび参考書を利用して勉強していただき、病原微生物に関する理解(記憶ではない)をしていただきたく思います。従って、細かい語句、名前等の情報については配布したB4用紙をご利用いただき、独自性のある答案をつくっていただくことを期待しています。』
図書館所蔵の教科書・参考書は、皆さんが閲覧できる機会を確保するために、長期間借り出ししないようお願い致します。
なお、成績の評価は、シラバスにもありますように、「授業出席回数(13回が最多)」+「試験評点(87点満点)」で行います。授業出席回数が「7」未満の者は試験の成績にかかわらずDと評価します。詳しくは有江へお尋ね下さい。
1/23は30分弱講義を行い、その後60分間で試験を行いました。2/6に試験の解説を行うとともに、講義(最終回)を行いますので、ご出席下さい。
試験問題と評価のポイント(781 kb pdf)